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NBA

“初代ドリームチームの衝撃”から4年。シャックら豪華メンバーが「テロの恐怖」とも戦ったアトランタ【五輪史探訪】<DUNKSHOOT>

出野哲也

2021.06.28

 前年には168人が犠牲になるオクラホマシティ連邦ビル爆破事件があり、当時のアメリカ市民にとって爆弾テロは現実的な恐怖だった。この事件を受け、マローンは同行していた家族をユタの自宅へ帰している。

 それでも大会は続行され、予選ラウンド最終戦ではクロアチアを破り5戦全勝で決勝トーナメントへ。だが2日後の30日、今度はとうとうホテルに爆弾を仕掛けたとの電話がかけられた。

 結局は悪戯だったと判明したが、憤慨したバークレーは、「いいアイデアがある。残りの3試合を今日1日で片づけて、この街からおさらばするんだ。サマランチ(IOC)会長にそう進言するつもりさ」とまくし立てた。もちろんその“アイデア”は実行されなかったが、選手たちも危機感を覚えたのは事実だった。

 準々決勝はブラジルと対戦。同国の伝説的選手で、この大会の得点王(平均27.4点)となったオスカー・シュミットには26得点を奪われたが、98-75で問題なく勝利を収めた。ちなみに38歳のシュミットはこれが5度目の五輪で、3大会連続の得点王。通算1000得点を超えた、五輪史上唯一の選手となっている。
 
 オーストラリア相手の準決勝も楽々突破し、決勝はユーゴスラビアとの全勝対決となった。ユーゴの中心選手ブラデ・ディバッツ(当時レイカーズ)が「99.9%アメリカが勝つだろう」と弱気な発言をしていたのと裏腹に、ザルコ・パスパリらユーロリーグの実力者を揃えたユーゴは、前半に一時7点のリードを奪う。

 後半も最初の6分までは1点差と食い下がっていたが、地力の差は明らか。ロビンソンが28得点、ミラーも20得点を稼ぎ出し、アメリカが難なく金メダルを勝ち取った。

■「今後の大会ではどうなるか……」クーコッチの予言は見事に的中

 決勝のハーフタイムでは、IOCがモハメド・アリに対して改めて金メダルを贈呈した。1960年のローマ五輪で頂点に立っていたアリ(当時の名はカシアス・クレイ)だが、のちにメダルを紛失(黒人差別に抗議して自ら廃棄したとも言われていたが、事実でないと否定)。この大会ではパーキンソン病に苦しみながらも聖火の最終点火者を務め、多くの人々に感動を与えていた。
 
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