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東京五輪

バスケ日本代表が4勝をあげて「国際的に一歩踏み出せた」1964年東京五輪。再び奇跡を起こせるか【五輪史探訪】<DUNKSHOOT>

出野哲也

2021.07.14

■日本は決勝ラウンド進出ならずも、過去最多となる4勝をあげる

 ブラッドリーは東京五輪について「始まった頃は自分がアメリカの一部という気分だった。それが終わる頃には世界の一部になった気がしていた」と、外国選手との交流が見聞を広めるきっかけになったと語る。

「勝利に集中していたから、あまり他の競技を楽しむ余裕はなかったよ。ボブ・ヘイズやビリー・ミルズ(ともに陸上競技)の走りも見られなかった。ドナ・デ・バローナ(女子水泳)の姿は目に焼きつけたけどね(笑)」

 日本に対する印象は「古いものと新しいものがいい具合に混淆している。人々の礼儀正しさ、賢さにも感銘を受けた」とのことで、その後も幾度か訪日し、議員時代は日米関係に関する法律の策定にも関わった。

 日本は決勝ラウンドに進めず、4勝5敗で16か国中10位。とはいえイタリアやフィンランドなどに勝利、ソ連にも敗れはしたが59-72と、相手を予選ラウンドでの最少得点に抑えた。
 
 この試合で20得点をあげた増田貴史は、大会全体でも得点ランキング9位の平均14.7点。ニューウェルに叩き込まれたチームディフェンスも光り、吉井監督は「外国に4勝したことはかつてなかった。国際的に一歩踏み出せた」と胸を張った。

 全種目を通じても、日本は29個のメダルを獲得。うち金メダルは16個で、現在に至るまで大会別の最多タイ記録(2004年のアテネ五輪と同数)である。前回のローマで獲得した18個のメダル(うち金が4個)から大躍進を遂げ、アジア初の五輪開催国として面目を保つと同時に、19年前の壊滅的な敗戦からの急速な復興を内外に印象づけた。

 日本代表が47年ぶりに出場する今回のオリンピックには、八村塁(ワシントン・ウィザーズ)と渡邊雄太(トロント・ラプターズ)のNBA組も参加する予定だ。ここで1964年大会以上の成果を収めるだけでなく、ブラッドリーのように日本への関心を深め、国際交流に寄与する参加者が1人でも多く現われることにも期待したい。まさにそれこそが、オリンピックを開催する意義なのだから。

文●出野哲也(フリーライター)

※『ダンクシュート』2020年11月号原稿に加筆、修正。

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