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NBA

確率わずか1.7%――気まぐれなロッタリーがブルズにもたらした「奇跡」と「別れ」【NBAドラフト史:2008年】

大井成義

2019.12.11

5位指名のラブはリバウンド王(2011年)のほか、オールNBA2ndチームに2度選出。2014年にキャブズに移籍し2016年の優勝に貢献した。(C)Getty Images

5位指名のラブはリバウンド王(2011年)のほか、オールNBA2ndチームに2度選出。2014年にキャブズに移籍し2016年の優勝に貢献した。(C)Getty Images

 トップ5は次の通り。2位ヒートがビーズリー、3位ウルブズがOJ・メイヨ(サザンカリフォルニア大1年)、4位ソニックスがラッセル・ウエストブルック(UCLA2年)、5位グリズリーズがケビン・ラブ(UCLA1年)。トップ3をすべて1年生が占めたのは、史上初めての出来事だった。

 ローカルスポーツネットワーク『CSNシカゴ』が、2008年ドラフトロッタリーでのブルズ関係者のエピソードを、彼らの証言を元に短い動画にまとめている。一般的にはあまり知ることのない、ドラフトロッタリーの内情を垣間見ることができ、これがなかなか興味深い。2018年5月13日の『シカゴ・トリビューン』に掲載された記事からの情報と合わせて、この機会にざっくりと紹介させていただこう。

■幸運を引き寄せたブルズ自身も1位指名権獲得は想定外だった

 ブルズのバスケットボール部門副社長のジョン・パクソン(元ブルズ選手)は、この年のドラフトロッタリーに出席せず、代わりにビジネスオペレーション部門副社長のスティーブ・シャンウォルドと、広報の若者ブランドン・フェイバーに行ってもらった。パクソンはロッタリーに何度か参加したことがあるものの、どちらかと言えば社交的な場は苦手なタイプで、そのうえ1位指名権を獲得できる確率はわずか1.7%。ぶっちゃけ、行っても仕方がないと思っていた。
 
 シャンウォルドとフェイバーも、9位指名権を持ち帰るために、わざわざニュージャージーくんだりまで行って1日潰すのは時間の無駄だと考えていた。特にシャンウォルドは2年連続での参加となり、まったく気乗りはしなかったが、チームの誰かが参加しなければならず、渋々現地に向かった。

 毎年、ロッタリーの様子はプレーオフの試合のハーフタイムにテレビ中継される。その1時間ほど前、明るく華やかなスタジオセットとは真逆の、無機質な会議室でロッタリー本番が開催され、その結果は外部に漏らされることなく、スタジオからのテレビ中継で大々的に発表されるというのが大まかな流れだ。ロッタリーの会場となる会議室は外部と完全に遮断され、情報漏えいを防ぐため携帯電話は封筒に入れて封印、トイレに行く時は警備員が複数人付いてくるという厳重さである。

 テレビのロッタリー番組にはシャンウォルドが出演し、ロッタリー本番にはフェイバーが出席。会議室3Aの壁には、全1001通りの数字の組み合わせが書かれた巨大なボードが掲げられていた。1位指名権獲得チームを決める抽選が始まり、ロッタリーマシンから1から14までナンバリングされたピンポン球が1個ずつ抽出され、番号が淡々と読み上げられていく。
 

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