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NBA

確率わずか1.7%――気まぐれなロッタリーがブルズにもたらした「奇跡」と「別れ」【NBAドラフト史:2008年】

大井成義

2019.12.11

ブルック(左)&ロビン(右)のロペス兄弟は、それぞれ10、15位指名。2人とも息の長い活躍を続けている。(C)Getty Images

ブルック(左)&ロビン(右)のロペス兄弟は、それぞれ10、15位指名。2人とも息の長い活躍を続けている。(C)Getty Images

 フェイバーは、ラッキーアイテムとして生まれ故郷オハイオの州木トチノキを持参し、それを握りしめながら成り行きを見守っていたが、それでも現実的に当たるとは思っていなかった。1001通りの組み合わせのうち、わずか17パターンしか当たりがないのである。

 ところが、1個目の数字“11”、2個目の“9”が、ブルズに割り当てられた数字と合致。3個目の“7”も合っていると気付いた時、フェイバーは自分がルールをきちんと理解しているのかわからなくなったという。

 最後の4個目の数字“13”が読み上げられ、ロッタリーを取り仕切っていたWNBA顧問弁護士のジェイミン・ダーシャウィッツに「シカゴ、1位指名権はあなたたちのものです」と告げられると、一瞬意味がわからなかったフェイバーは、とりもなおさず「もらっとくよ」とだけ答えたそうだ。後のインタビューで、フェイバーはこう語っている、

「部屋の中にはチームのオーナーや、殿堂入りしたGMなんかがいる。ロッタリーに勝っても、礼儀正しくあろうと心がけたよ。でも、頭の中は発狂寸前だったけどね」。
 
 スタジオセットでスタンバっていたシャンウォルドは、もちろん結果を知らない。実際のロッタリーから75分後に番組がオンエアされ、最初にESPNのインタビュアー、ドリス・バークが各チームの代表者を紹介した。するとバークは、シャンウォルドの役職を間違えたばかりか、ファーストネームの“スティーブ”を“スタン”と誤って紹介。シャンウォルドは苦笑いするしかなかった。

 イベントは順調に進んでいき、アダム・シルバーNBA副コミッショナー(当時)の手で、チームロゴが収められたLPサイズ大の封筒が14位から順に開封されていく。9位に本来読み上げられるはずのブルズではなく、ボブキャッツの名前が読み上げられた時点で、ブルズの3位以内へのジャンプアップが確定。シャンウォルドは小さくガッツポーズをして見せた。

 1~3位の封筒を開封する前に、残った3チームの代表がセンターステージに集められた。ヒートからはドゥエイン・ウェイド、ウルブズからはアシスタントGMのフレッド・ホイバーグ(元ブルズ選手)、そしてブルズのシャンウォルド(個人的にツボだったのは、スーツ姿のホイバーグが体長50㎝ほどのテディベアを真顔で手にしていたこと。本人いわく、ラッキーアイテムだそうだ)。

 シルバーが3位の封筒を開けると、出てきたのはウルブズのロゴ。そして緊張の瞬間が訪れる。1位はヒートか、ブルズか――。続く2位の封筒から出てきたのは、ヒートのロゴだった。ブルズに1位指名権の獲得が告げられる。
 

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