専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
NBA

相性抜群のキッドとマーティンを引き裂いた「契約問題」。コンビ解消後は明暗が分かれ…【NBAデュオ列伝|後編】〈DUNKSHOOT〉

出野哲也

2021.03.14

 一方、マーティンの移籍は裏目に出た。キッドの手を離れたあとは、オールスター級から並の選手に成り下がってしまい、若いカーメロ・アンソニーの陰に隠れてしまった。ジョージ・カールHCとの確執でトレード候補に上がりながら、年俸が高すぎて引き取り先すら見つからない状態にも陥った。ナゲッツとの契約が切れたあとは、一時中国でもプレーした。

 一旦は切れてしまったキッドとマーティンの縁は、12-13シーズンになって復活する。キッドがプレーしていたニューヨーク・ニックスが、2月にマーティンと10日間契約を結んだのだ。実に9年ぶりのコンビ再結成だった。この年を最後に引退したキッドは、すぐネッツのヘッドコーチに就任。1年限りで退任したあと、ミルウォーキー・バックスのHCに迎えられ、翌年1月にまたもマーティンが10日間契約で加入した。「若い選手の見本としてぴったりだ。彼とは家族の一員と言ってもいいほど親しい間柄だしね」とキッドは語っていた。
 
 同年限りでマーティンは引退。通算成績はドラフト1位指名としてはいささか寂しいものだったが、世界最高のリーグで15年プレーしただけでも誇っていい。現在は息子のケニョン・ジュニアが、ヒューストン・ロケッツに所属している。

 キッドは18年にバスケットボール殿堂入りを果たした。マーティンにはその可能性はほとんどなさそうだが、キッドはこのように言う。

「彼は私のミスを救ってくれた。彼のおかげで、私は良い選手に見えていたんだ。世間では私が彼を良い選手に見せていたと言っているようだが、逆もまた真なりなんだ」

 現在のネッツのビッグ3が今後も機能し、久々のファイナル進出を果たせるかどうかは、彼らがキッドとマーティンのような信頼関係を維持できるか否かがカギになるだろう。

文●出野哲也

※『ダンクシュート』2006年11月号掲載原稿に加筆・修正。

【名場面PHOTO】ジョーダン最後のオールスター、コビー81得点、カーターの豪快ダンク……1999-2019 NBA名場面集
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号