専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
NBA

バードも認めた「欧州のスナイパー」ヤシケビシャスがNBAで犯した“ふたつの過ち”

小川由紀子

2020.06.29

 そんななか、アメリカに戻る気だったヤシケビシャスの心をとらえたチームがあった。ギリシャの強豪パナシナイコスだ。決め手となったのは、直接連絡してきたジェリコ・オブラドビッチHCの下でプレーしたい、という思いだった。

 アテネへの転居は離婚の原因にもなったが、ヤシケビシャスはここで選手としてさらに成熟する。在籍3年間すべてでリーグ優勝を果たし、2009年にはユーロリーグ、国内カップをあわせた3冠を達成。それだけでなく、欧州きっての名将からコーチ像を学んだことが、現在の彼の指導者としてのキャリアに生かされているのは間違いない。

 現役最後の2013-14シーズン、ヤシケビシャスは“ジャルギリスでプレーする”という子どもの頃からの夢をついに実現させると、翌年からは指導者側となり、昨季はチームを19年ぶりのファイナル4に導き銅メダルを獲得。適材適所を見極めた選手の起用法、プレーヤーと近い目線から彼らを鼓舞する人間力に加え、“稀代のフロアリーダー”と呼ばれた彼は戦術面にも長けていた。
 
 現在は、つい先日フェネルバフチェからの勇退を発表した恩師オブラドビッチの後任候補にも挙がった。また、メンフィス・グリズリーズやシカゴ・ブルズなど、NBAチームからもリストアップされている。

「NBAは紛れもなく世界最高峰のリーグだ」と語り、選手にとっても自分自身にとっても、目指す甲斐のある場所だと話したヤシケビシャス。しかし一方で「同じメンタリティや志を持って、勝利に向かえる人たちとともにできること」が、彼にとって一番大切なことであると強調する。

「NBAでは最初の選択を間違えると、その影響が最後までついて回る」というのが、彼が選手時代に得た教訓だ。ただ、彼の英語はネイティブ並で、誰とでもすぐに仲良くなれる性格だったため、アメリカでも生活面は満喫していた点が多くのヨーロッパ選手と違う部分だろう。

 46歳の指揮官が、これから過ごすバスケットボールキャリアはまだ長い。選手としては大成できなかった彼のNBAドリームは、これから先、コーチとして花開くかもしれない。

文●小川由紀子

【PHOTO】NBA最強の選手は誰だ?識者8人が選んだ21世紀の「ベストプレーヤートップ10」を厳選ショットで紹介!

DAZNなら「プロ野球」「Jリーグ」「CL」「F1」「WTAツアー」が見放題!充実のコンテンツを確認できる1か月無料体験はこちらから

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号