オランダのフェイエノールトは現地時間８月12日、チャンピオンズ・リーグ（CL）の予選３回戦でトルコのフェネルバフチェに２-５の大敗を喫し、合計スコア４-６でプレーオフ進出を逃している。
  　ホームでのファーストレグを２-１で制してから１週間後のリターンマッチ。フェイエノールトは41分にセットプレーから新加入・渡辺剛のヘッド弾が炸裂して貴重な先制点を奪ったが、その３分後には追いつかれ、さらに55分までに２失点を喫してしまう。83分にも失点してリードを広げられると、89分に再び渡辺が見事なダイレクトシュートで１点を返したが、アディショナルタイムにトドメの一撃を食らい、ジョゼ・モウリーニュ率いるチームの前に敗退を余儀なくされた。フェイエノールトはヨーロッパリーグに回ることとなった。

　失意の結果に終わった一戦で、ひとり大いに気を吐いたのが２ゴールのCB、渡辺だ。今夏にベルギーのヘントから加入した28歳は、すでに守備面ではチームメイトや地元メディアから「以前からチームの一員だったかのよう」と称賛されているように、早々にチームに適応して好プレーを披露。この加入３試合目（公式戦）では頭と足の両方でゴールを挙げ、攻撃面の実力も証明してみせた。

　オランダのサッカー専門メディア『Voetbal Primeur』は、CL敗退に対して財政面での大きな損失を強調。「これでパリ・サンジェルマンやバルセロナといった相手との試合は夢物語となり、大きな収入も失うことになる。昨季はCLで7500万ユーロ（約130億円）を稼いだが、今季はそれよりはるかに少ないELの収入でやりくりしなければならない」と伝えたが、その中で数少ない「収穫」のひとつに、この試合で活躍をみせた日本人選手の存在を挙げている。

「渡辺が『補強の失敗例」と呼ばれることはまずない――この結論はすでに出された。確かに不安定な場面もあったが、この試合でも安定したパフォーマンスを披露。それ以上に、彼は特別な武器を持っていることを証明した。なんとフェイエノールトの２ゴールをいずれも決めたのだ。１点目は本職ストライカーのようなヘディング、２点目は見事なボレーシュートだった」

また同メディアは、個別評価の記事では10点満点の採点で渡辺にひとり飛び抜けて高い「８」の最高点を与え、「まるで２つの顔を持つようなプレー。日本人DFは危うくオウンゴールを決めかけ、さらに１-２とされた場面では、あまりにあっさりとユセフ・エン＝ネシリに空中戦で競り負けてしまった。しかし一方で、見事な先制点と、本当に素晴らしい２点目を決めてみせた」との寸評を綴った。