現地時間８月13日に行なわれたUEFAスーパーカップで、クラブ史上初のチャンピオンズリーグ優勝を飾ったパリ・サンジェルマンが、ヨーロッパリーグ王者のトッテナムをPK戦の末に下し、今季ひとつ目のタイトルを手にしている。

　このイタリア・ウディネでの一戦は劇的な展開となった。39分にミッキー・ファン・デ・フェンがこぼれ球を押し込んでトッテナムが先制すると、さらに後半開始直後にもクリスティアン・ロメロのヘッド弾が決まって２点をリード。試合はそのまま終盤に入り、敗色濃厚となったパリSGだったが、85分に交代出場のイ・ガンインが左足で鋭く突き刺して１点を返し、アディショナルタイム４分にウスマン・デンベレの折り返しをゴンサロ・ラモスが合わせて、土壇場で追いついた。
  　PK戦でも最初に優位に立ったのはロンドンのチームで、パリSGのヴィティーニャの失敗によりリードを奪ったが、３人目のファン・デ・フェンが止められると、続く４人目のマティス・テルは枠を外す。対して２人目以降は全選手が成功したパリSGが逆転に次ぐ逆転で凱歌を上げた。その立役者のひとりとなったのは、これが新天地デビューとなった守護神リュカ・シュバリエだった。

　９日に正式にパリSGの一員となったばかりでありながら、ルイス・エンリケ監督の希望に合致するタイプのGKとして、欧州制覇に大きく貢献したジャンルイジ・ドンナルンマ（12日にSNSで退団の意向を表明）に代わってスタメンの座を勝ち取った23歳は、さっそく幾つかの好守を見せ、PK戦ではファン・デ・フェンのキックを阻止してチームをタイトル獲得に導いたが、一方で２失点目ではロメロのヘディングシュートに反応しながらも止められず、さらにチームを窮地に追い込むことにもなってしまった。

　このリールから移籍してきた守護神の働きについて、母国フランスの日刊紙『LE FIGARO』は「良い場面、そうでない場面、そして最後にはトロフィー。忘れようにも忘れられない夜になった。幾つもの見事なセーブ、さらにPKストップも披露。全体的にはポジティブだが、完璧ではなかった。２失点目は明らかに彼のミスだ。もし欧州王者がこの試合で敗れていたら、この失点だけが大きく取り上げられていただろう。しかし結果的に、シュバリエはこの試合でパリの心を掴んだと言える。これぞサッカーの魔法だ」と好意的に評した。

同メディアは、ルイス・エンリケ監督の「彼やチーム全員のためにも、この結果は本当に嬉しい。我々が求めているものを、彼は示してくれた」、デンベレの「本当に台本通り。加入してすぐPK戦（笑）……。デビュー戦としては最高だし、みんな喜んでいる」、そしてマルキーニョスの「PK戦では、リュカを信頼していた。彼は加入したばかりだが、チームメイトを安心させる良い機会だった」との、新たな仲間への賛辞を紹介している。