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日本代表

森保一監督は、いつ「無能の仮面」を外すのか。巷に渦巻く“監督解任論“の是非を問う

清水英斗

2020.12.06

森保監督はこれまで、選手の自主性を重んじてチームをマネジメントしてきた。(C)Getty Images

森保監督はこれまで、選手の自主性を重んじてチームをマネジメントしてきた。(C)Getty Images

 何の手も打たず、座して死を待ったのか。それとも立ち上がって動いたのに、結果としてうまくいかなかったのか。両者は共に失敗だが、内容は違う。0-2で敗れた11月の国際親善試合、メキシコ戦はどちらだったのか?

 今までの森保監督は、ほぼ前者だった。座して待つ。2019年のアジアカップ決勝、カタール戦は0-2とリードを許すまで、システム起因のずれを修正しなかった。ワールドカップ2次予選、キルギス戦も同様だ。明らかにサイドチェンジを狙われているのに、対応を整理せず、長友佑都の左サイドは苦境に陥り続けた。相手がキルギスでなければ、失点した可能性は高い。

 これらの無采配について、森保監督は“主体性の育成”を理由に挙げてきた。サッカーのピッチでは常に想定外の事態が起こるので、ベンチの顔色を伺うのではなく、選手が自分で判断し、リアルタイムで対応できるように成長しなければいけない。そうした長期的視野から、座して待ち、無能の仮面をかぶり続けた。
 
 その主体性をベースとして、複数のシステムや戦術を使い分けていく。

 問題意識は正しい。過去、日本代表はワールドカップでベスト16に3度たどり着いたが、3度共に敗れた。壁を破れなかった要因は同じだ。一つのチーム、一つの戦い方しか作っていない。というか、それを作るだけで精一杯だった。

 グループリーグはある意味、初戦さえ勝ってしまえば、あとは勢いや流れで乗り切れる。2010年の岡田ジャパン、2018年の西野ジャパンについては、直前の騒動により、チームがどんな戦術にたどり着くのか予測ができず、対戦相手にとっても分析困難なステルス・チームだったことも大きい。

 ところが、3戦を終えれば、相手も分析のサンプルが溜まる。一つの戦い方しかできない日本代表など、あっという間に丸裸にされてしまう。また、ベスト16で相まみえる強豪は総合力も高い。ポゼッション、被ポゼッションなど様々なフェーズで問題を突きつけてきたとき、一つの戦い方しかできないチームでは到底対応し切れない。そうやってロシア・ワールドカップのベルギー戦、2-0から2-3へとひっくり返された、『ロストフの悲劇』は起きた。
 

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