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日本代表

森保一監督は、いつ「無能の仮面」を外すのか。巷に渦巻く“監督解任論“の是非を問う

清水英斗

2020.12.06

リバプールでは苦境に立たされている南野だが、日本代表では不動の存在だ。(C)Getty Images

リバプールでは苦境に立たされている南野だが、日本代表では不動の存在だ。(C)Getty Images

 ベスト8以上へ行くためには、複数のシステムや戦術を柔軟に使い分ける、大人のチームでなければならない。長丁場の大会で、悪くても勝つ、苦しい展開でも勝つために。そのためには、とかく日本人に欠けがちな主体性、つまり、自分で物事を判断し、臨機応変に状況を変えていく習慣が必要だ。繰り返すが、森保監督の問題意識は正しい。

 ただし、そのために座して待つ、というのは決して最上の方法では無かった。元々主体的なアクションを苦手とする国民性のチームに、何のヒントも基準も与えず、座して待ったところで、大きな動きなど期待できない。時間を無駄にしている感覚があった。

 チームが想定外の状況に遭ったとき、先に選手がアクションを起こしたら、監督はそれを容認するか、訂正するかを見極める。逆に監督から先に、システムなどの枠組みを提示し、選手に対応させることもある。つまり、チームの対応力や主体性は、監督と選手の双方向で成り立つものであり、一方的に座して待っても、成立しない。その点が引っかかっていた。
 
 チーム作りの第一フェーズなら、選手主導の雰囲気を作るために、あえて監督が黙っているのも理解できるが、立ち上げから2年が経ち、最終予選も徐々に迫る中で、もういい加減、監督からの働きかけを増やさないと、スピード感のある対応力が育たない。

 その意味では、メキシコ戦はホッとした。やっと、山が動いたからだ。

 日本優勢の前半が終わった後、メキシコはシステムを4-3-3から4-2-3-1に変更し、戦術を修正した。それに対し、森保監督が交代カードを切ったのは、後半に入った57分。鈴木武蔵と柴崎岳に代え、南野拓実と橋本拳人を投入した。

 珍しく、動きが早い。風向きの変化を感じた。日本は後半序盤もそれほど悪い内容ではなく、押し込む場面も作っていた。0-0でスコアも動いておらず、交代前はさほどのピンチにも陥っていない。にもかかわらず、森保監督は10分も経たないうちに交代を話し合い、動きを見せた。珍しい。
 

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