海外サッカー

【消えた逸材】飛行機事故に見舞われたシャペコエンセで再起を期す!11年のU-20W杯でMVPと得点王に輝いたエンリケ・アウメイダの今

沢田啓明

2019.10.03

現在28歳のエンリケ・アウメイダ。11年U-20W杯で大会MVPと得点王に輝いた逸材は、再び第一線に返り咲けるか。 (C)Getty Images

 キャリア最大のハイライトは、2011年のU-20ワールドカップ(W杯)だ。5得点を挙げてブラジルの優勝に大きく貢献すると、自身も大会のMVPと得点王に輝いた。

 当時のチームメイトは、現在のブラジル代表で主力を担うMFフィリッペ・コウチーニョ(バイエrン)やボランチのカゼミーロ(レアル・マドリー)、ダニーロ(ユベントス)といった顔ぶれで、世界中にその名を轟かせた8年前は、彼ら以上に将来を嘱望されるタレントだった。

「来年(2012年)のロンドン五輪に出場して、金メダルを勝ち取りたい。欧州のビッグクラブでプレーしたいし、もちろん、セレソンでも確かな足跡を残したい」

 大会後、自身の夢をそう語ったエンリケ・アウメイダはしかし、希望に満ちていた当時から現在に至るまで、その夢は何ひとつ実現できていない。
 
 動き出しが早いうえ、フィジカルコンタクトに強く、両足で強烈なシュートが撃てるオールラウンドなストライカ-。ただし、身長177㎝とCFとしては平均的な体格で、傑出したスピードやパワー、テクニックを持ち合わせているわけではなかった。

 サンパウロの下部組織で育ち、09年に18歳でプロデビュー。しかし、11年までの3年間、カンピオナット・ブラジレイロ(ブラジル全国リーグ)では32試合に出場して5ゴールを挙げただけだった。

「もっとプレーしたい。無理なら別のクラブで経験を積ませてほしい」

 そうクラブに直訴し、以降は国内外の中小クラブへレンタル移籍を繰り返した。