イングランド・サッカー界の名門が揺れている。現地時間11月７日、プレミアリーグの強豪リバプールを所有するフェンウェイ・スポーツ・グループ（FSG）が売却に動き出していると、英メディア『The Athletic』がすっぱ抜いた。

　MLBの名門ボストン・レッドソックスも所有するFSGは、2010年10月に前オーナーのジョージ・ジレット・ジュニア氏とトム・ヒックス氏から、約３億ポンド（現在のレートで約500億円）でリバプールを買収。効率の良い投資で、本拠地アンフィールドの改築や練習場の移転を成功させるなど、当時経営難に陥っていたクラブを立て直してきた。

　もっとも、経営はすべてが順風満帆というわけではない。近年のリバプールはとりわけ移籍市場でのマネーゲームにおいて他チームの後塵を拝する機会は少なくなかった。そして昨年に英国内で猛烈な反発を受けた欧州スーパーリーグ構想のとん挫という結果をシビアに見ていたFSGは、NBAチーム買収のための資金捻出もあり、今回の決断に至ったと見られている。

　今回の英メディア『The Athletic』の報道に対してFSGは「我々は以前から適切な条件の下で、クラブの利益になるのであれば、新しい株主を検討すると言ってきた。FSGは、ピッチの内外を問わず、リバプールの成功に全面的にコミットしている」と声明を発表。あらためて売却の可能性を匂わせている。

　すでに英メディアではFSGの言う「新しい株主」が誰になるのかが話題となっている。そうしたなかで、「ぜひともやりたいね！ 売却の話を聞いて、すぐにリバプールの情報を集めたぞ。何という出来事なんだ、何ていうクラブなんだ。LFC（リバプールFCの略称）」と自身のツイッターでほのめかしたのは、総合格闘家のコナー・マクレガーだ。
  　総合格闘技だけでなく、自らが立ち上げたウイスキーブランドでも財を成すマクレガー。前々からリバプールの宿敵であるマンチェスター・ユナイテッドのファンを公言している彼がクラブ買収をするとなれば、さまざまな話題となりそうではある。

　しかし、現時点で可能性は低いと見られている。なぜなら、リバプールの売却価格は30億ポンド（約5010億円）以上と予想されており、総資産１億3500万ポンド（約225億5000万円）の格闘家では買い手にならないからである。

　実際、英国内での反応は冷ややかなものが目立っている。英紙『Daily Mail』は「近年のピッチ内の成功を考えれば、FSGの決断は衝撃的なものだ」と記したうえで、「マクレガーの買収は想像し難い」と列挙。さらに英放送局『DAZN』のルディ・シュラー記者も「彼が実際にプレミアリーグのトップチームを買収するには、裕福な友人を２人は集めて、支援をお願いするしかない」と断言している。

　はたして、リバプールの運命はどうなるのか。何やら風雲急を告げる展開となっている。

構成●THE DIGEST編集部

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