この試合のキックオフ前、スターティングメンバーを見た世界中のサッカーファンは目を疑ったはずだ。フットボール界のスーパースターであり、グループステージのガーナ戦でW杯史上初の5大会連続ゴールという偉業を達成したクリスティアーノ・ロナウドがベンチスタート。C・ロナウドが主要大会(W杯、EURO)でスタメンを外れるのは実に14年ぶりのことだったのだ。
ポルトガル代表のフェルナンド・サントス監督はグループステージ最終戦の韓国戦から大きくメンバーを入れ替えるなか、チームの大黒柱であるエースをベンチに置き、代わりに21歳のFWゴンサロ・ラモスを抜擢する思い切った決断に出た。
不動のエースの先発落ちの衝撃は大きく、ポルトガル代表のベンチ前には大勢のオフィシャルカメラマンが殺到し、スターティングメンバーよりベンチに座る背番号「7」に数多くのレンズが向けられた。
決勝トーナメントのなかでも大きなトピックの一つだったが、米放送局『CNN』のマティアス・グレズ記者は、ロナウドのベンチスタートは妥当だったとの見解を記す。「ロナウドがベンチに下がった理由はまだはっきりしないが、最近の彼のパフォーマンスは、今までの彼のキャリアのなかで、高い基準を大きく下回っている」と指摘。「彼はマンチェスター・ユナイテッドでもベンチだったし、韓国戦でも途中交代された。ロナウドのいまの状態を見れば、同じような判断を期待する人がいると考えるのは妥当だろう」と述べている。
同氏はまた、ロナウドの体力的な衰えを指摘。チーム戦術にマッチしていない点にも言及する。
「37歳になったロナウドの足は、かつてのような躍動感を失っているように見える。サッカー界において偉大なゴールを決める驚異の一人であることに変わりはないが、対応力の欠如は現代サッカーが好むハイライン、ハイプレスのスタイルには、もはやフィットしないことを意味している」
事実、ロナウドに代わって先発出場したゴンサロ・ラモスは今大会初のハットトリックを達成し、サントス監督の采配は当たる形となり、新旧エースの交代を予感させた。
とはいえ、ベンチスタートとなったロナウドはスイス戦の大半、チームメイトを応援し、得点時には一緒になって駆け寄り祝福するなど、チームを鼓舞する熱い姿が見られた。献身的な姿にグレズ記者は、改めてチームにとって替えの利かない唯一無二の選手であることを忘れていない。
「ロナウドがモロッコとの準々決勝で再びスタメンに返り咲くかどうかは不明だが、たとえスタメンでなくてもサントス監督は史上最高のゴールゲッターの一人を起用できることは悪い選択肢ではないだろう」
ピッチ外に目を向ければ、バロンドーラ―に5度輝いたレジェンドはW杯開幕直前にマンチェスター・Uに別れを告げたあと、サウジアラビア1部のアル・ナスルへの加入が決定的になったという噂が飛び交っているが、まだ正式発表はされていない。
来年の2月で38歳になる稀代のゴールハンターは、残り少ないキャリアをどのような形で締めくくるのか。ポルトガル代表は現地12月10日に16年ぶりのベスト4進出を懸け、アフリカの雄モロッコ代表と激突する。
構成●THE DIGEST編集部
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