去る12月18日に行なわれたカタール・ワールドカップの決勝。このフランス代表との頂上決戦にふさわしい攻防戦のなかで、アルゼンチン代表FWパウロ・ディバラに出番が巡ってきたのは、3-3で迎えた延長後半、それも終了間際のアディショナルタイム1分だった。
幾度となく追いすがるレ・ブルー(フランス代表の愛称)に苦戦を強いられながらも、なんとか耐え凌いでいたアルゼンチン。無論、ゲーム終盤での抜擢は間もなく迎えようとしていたPK戦を見越してのものだった。
そして延長戦で決着をつけられずに迎えたPK戦でアルゼンチンは4-2と勝利。36年ぶりの戴冠を果たすのだが、この最終局面でチームを優位に立たせたのは、他でもないディバラのキックでもあった。
フランスのキングスレイ・コマンが外した直後の2番手として登場した29歳は、相手守護神ウーゴ・ロリスを前に、ど真ん中に蹴り込んで危なげなく成功。後続に精神的な余裕をもたらしたのである。
PK要員として送り出されていたディバラがかなりのプレッシャーに苛まれていたのは、想像に難くない。実際、試合後に彼は「監督に『いくぞ』と呼ばれたときに、PK戦のためなんだというのは分かっていた。だけど、直前に状況が変わったから簡単なことじゃなかったね」と振り返っている。
さらに「キッカーの時にボールのところへ行くまでは本当に遠かった。辿り着かないかと思うほどにね」とも話したディバラ。ではなぜ、堂々と蹴り込めたのか。それには、守護神であるエミリアーノ・マルティネスの助言があったという。12月20日に行なわれた地元コルドバでの優勝報告会で、緊張の攻防戦の舞台裏を話している。
「ディブ(E・マルティネスの愛称)がアドバイスとして教えてくれたんだ。『いいから、真ん中に蹴れ』ってね。それで蹴ったんだ。そしたら相手のGKは僕が蹴りたかった方に飛んでいったよ」
もっとも、その助言は的外れなものではなかった。今大会のPKにおいては真ん中へのシュートは成功率が高いとされている。米メディア『The Athletic』などにも寄稿しているGK専門のアナリストであるジョシュ・ハリソン氏は「簡単な決断ではないが、PKで真ん中に蹴ったボールを止めたGKは6パーセントしかいなかった」と紹介している。
この決勝後に相手エースのキリアン・エムバペを嘲笑したり、フランス・サポーターを煽ったりと“問題行動”を起こし、小さくない批判を浴びているE・マルティネス。だが、彼の経験に裏打ちされた助言がなければ、ディバラはPKを外し、流れが変わっていたかもしれない。緊迫の場面で利かせた30歳のアルゼンチン人GKの機転にはあっぱれを送りたい。
構成●THE DIGEST編集部
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そして延長戦で決着をつけられずに迎えたPK戦でアルゼンチンは4-2と勝利。36年ぶりの戴冠を果たすのだが、この最終局面でチームを優位に立たせたのは、他でもないディバラのキックでもあった。
フランスのキングスレイ・コマンが外した直後の2番手として登場した29歳は、相手守護神ウーゴ・ロリスを前に、ど真ん中に蹴り込んで危なげなく成功。後続に精神的な余裕をもたらしたのである。
PK要員として送り出されていたディバラがかなりのプレッシャーに苛まれていたのは、想像に難くない。実際、試合後に彼は「監督に『いくぞ』と呼ばれたときに、PK戦のためなんだというのは分かっていた。だけど、直前に状況が変わったから簡単なことじゃなかったね」と振り返っている。
さらに「キッカーの時にボールのところへ行くまでは本当に遠かった。辿り着かないかと思うほどにね」とも話したディバラ。ではなぜ、堂々と蹴り込めたのか。それには、守護神であるエミリアーノ・マルティネスの助言があったという。12月20日に行なわれた地元コルドバでの優勝報告会で、緊張の攻防戦の舞台裏を話している。
「ディブ(E・マルティネスの愛称)がアドバイスとして教えてくれたんだ。『いいから、真ん中に蹴れ』ってね。それで蹴ったんだ。そしたら相手のGKは僕が蹴りたかった方に飛んでいったよ」
もっとも、その助言は的外れなものではなかった。今大会のPKにおいては真ん中へのシュートは成功率が高いとされている。米メディア『The Athletic』などにも寄稿しているGK専門のアナリストであるジョシュ・ハリソン氏は「簡単な決断ではないが、PKで真ん中に蹴ったボールを止めたGKは6パーセントしかいなかった」と紹介している。
この決勝後に相手エースのキリアン・エムバペを嘲笑したり、フランス・サポーターを煽ったりと“問題行動”を起こし、小さくない批判を浴びているE・マルティネス。だが、彼の経験に裏打ちされた助言がなければ、ディバラはPKを外し、流れが変わっていたかもしれない。緊迫の場面で利かせた30歳のアルゼンチン人GKの機転にはあっぱれを送りたい。
構成●THE DIGEST編集部
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