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日本代表

苦難を乗り越えたJ1制覇の牽引車!仲川輝人が背番号23に込めた野望とチーム愛

飯尾篤史

2019.12.08

仲川はリーグトップタイの15得点を挙げ、15年ぶり4度目の優勝に貢献した。(C)SOCCER DIGEST

仲川はリーグトップタイの15得点を挙げ、15年ぶり4度目の優勝に貢献した。(C)SOCCER DIGEST

 シーズンを振り返った時、大きな意味を持つゴールというものがある。あのゴールこそが自らの、そして、チームの歩みを加速させたと思えるような。

 もしかすると、4月28日のJ1第9節で生まれた同点弾は、仲川輝人にとってそんなゴールだったかもしれない。

 Jリーグ創設の1993年以来、J1を舞台に唯一続いている鹿島アントラーズとの、「ザ・クラシック」を銘打たれた注目マッチ。順位は8位だが上位は混戦で、5位の鹿島を倒せば入れ替わることができる。ましてや前節では北海道コンサドーレ札幌に敗れており、連敗はなんとしても避けなければならない。

 ところが、横浜F・マリノスはわずか11分でビハインドを負うことになる。ゴールを許したのは、あろうことか鹿島の左SBである安西幸輝――右ウイングの仲川がマークすべき選手だったのだ。

「やべえって。すごく警戒していたのに一気に置いていかれて、決められてしまった。これはもう、自分が点を取らないと。試合中ずっとそう思ってました」
 
 その後は横浜が押し込みながら、鹿島の堅守を崩せずにいた。後半に入ってペナルティエリア内で仲川が倒されたように見えたが、判定はノーファウル。名誉挽回の機会は得られなかった。

 先行逃げ切りは鹿島のお家芸である。このまま0−1でタイムアップか……。そんな嫌なムードを断ち切ったのが、他でもない仲川だった。

 69分、ボックス内で少し膨らんでボールを受けると、クッと切れ込み、左足でコントロールショットを決めるのだ。

「カットインして左足っていうのは、高校、大学時代からあまり決めてないんです。左足でボールを曲げてファーサイドを狙う形は、練習でずっとやっていて。やっと試合で出せたなって」

 82分にはマルコス・ジュニオールが続く。3万8561人もの観衆が詰めかけたホーム、日産スタジアムでの逆転劇。この痛快な勝利の呼び水となった同点弾は、仲川にとって開幕戦以来、8試合ぶりに生まれた待望のゴールでもあった。

「その間、アシストでチームを助ける場面はあったんですけど、やっぱりFWは点を取るのが仕事。特に今年は結果にこだわっているので、ようやく取れたなって、ホッとしています」
 

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