リバプールのユルゲン・クロップ監督が今季限りでの退任を発表したことは、サッカー界に大きな驚きを与えている。

　リバプールは１月26日に公式サイトでこの旨を明らかにし、「何というか、エネルギーが底をついてきているということだ。今は特に問題はないが、以前から自分がいずれアナウンスしなければならないと分かっていた。今は全く大丈夫だ。しかし、同じ仕事を何度も何度も続けてできるとは思っていない」という指揮官のコメントを紹介した。

　2015年にドルトムントの監督を退任するとともに、リバプールに招聘されたドイツ人智将は、9シーズンの就任期間においてチャンピオンズリーグ優勝、そしてプレミアリーグ創設以来初となるリーグ優勝にチームを導くなど、ここまで7つのタイトルを獲得し、そして今季も現時点でリーグ首位に立っている。

　この発表を受け、キャプテンのフィルジル・ファン・ダイクは「受け止めるのが難しい。クロップ監督の存在は、我々にとって、私にとって、クラブにとって、そしてプレミアリーグ全体にとっても、非常に大きな意味を持っているからだ」と語り、リバプールOBで現在はコメンテーターを務めるジェイミー・キャラガーは「このニュースは、クラブにとってボディブローとなるだろう。（退任は）まだ数年先のことだと思っていた」と、驚きを隠していない。
  　また、イングランドのレジェンドストライカーであるアラン・シアラーは「全く予測しておらず、大変驚くべきことだ。選手たちは、素晴らしい形でクロップを送り出したいと考えているだろう。リバプールは全てのコンペティションに勝ち残っており、それが可能かもしれない」。マインツ→ドルトムントというクロップと同じ足跡を辿って名将の仲間入りを果たしたトーマス・トゥヘル（現バイエルン）は、「世界でベストな監督のひとりであり、どのクラブでも彼はその名を残した」と、偉大な先輩に敬意を表した。

　クラブの歴史に名を残した56歳の退任表明について、イギリスの日刊紙『The Guardian』は、1959年に当時2部リーグ所属だったリバプールに到来してチームを立て直し、3度のリーグ（1部）優勝を含む10個のタイトルをもたらした名将ビル・シャンクリーが1974年に退任した時以来の衝撃であり、「変革の時代が終わるという絶望感」という点で大きな類似点があるとしている。

　ただ、シャンクリーにはアシスタントを務めたボブ・ペイズリーという後継者がいたのに対し、クロップの場合はコーチ陣も揃って退任することが発表されており、リバプールは後任を見つけるのが簡単ではないこと、また現在のチームの核であるモハメド・サラーやファン・ダイクらが30代に突入していることもあり、選手の世代交代にも備える必要があるなど、クラブが今後、「未知の世界に足を踏み入れる」と指摘した。