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海外サッカー

「本来は決して手放すことはない選手だが…」難航するヴィニシウスとマドリーの契約延長交渉、サウジアラビアからは「5年総額1600億円」という具体的なオファーも

下村正幸

2025.02.19

ヴィニシウスはマドリーに残留するのか。(C)Getty Images

ヴィニシウスはマドリーに残留するのか。(C)Getty Images

「ヴィニシウス・ジュニオールの将来を巡って一定の混乱が生じており、その騒音は大きくなり続けている」

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 スペイン紙『エル・パイス』がそう言及するように、ここにきて“7番”の移籍報道が過熱している。この騒動の背景を理解するうえでカギとなるのが、現在レアル・マドリーとヴィニシウスの両者間で進められている契約延長交渉だ。現行の契約は2027年6月に満了する。スペインの大手ラジオ局『カデナ・セール』によると、ヴィニシウスの要求額は手取り年俸2500万ユーロ(約40億円)。現在はキリアン・エムバペとほぼ同額の、およそ1500万ユーロ(約24億円)だ。

 本来なら満了まで2年を切るタイミングを待って契約延長交渉に着手するマドリーが、その慣例を破り、約半年早く交渉に乗り出さなければならなかったのは、言うまでもなくサウジアラビアの陰があるからだ。スペイン紙『AS』によると、サウジアラビアは昨夏に獲得を打診したが、マドリーがこれを拒否。しかしサウジアラビア側は「何としてもヴィニシウスを獲得する」と鼻息を荒くしながら、今夏再び攻勢をかける準備をしているという。

 そんな中、複数のメディアでヴィニシウスの代理人とサウジアラビアの公共投資基金(PIF)の代表団との間で話し合いの場が持たれたことが報じられた。5年契約で総額10億ユーロ(約1600億円)、手取り年俸2億ユーロ(約320億円)という具体的な数字もすでに漏れ伝わっている。マドリーとの差は明らかだが、かといってエムバペやジュード・ベリンガムとのパワーバランスを考えると、マドリーもおいそれと積み上げることはできない。ヴィニシウスサイドは、現在のステータスに加え、サウジアラビアからのオファーを味方につけて強気な態度で臨んでおり、それがまた交渉を難航させている。
 
『AS』紙のアリツ・ガビロンド記者は、「チャンピオンズリーグをはじめシーズンが佳境を迎えるこの時期に、サウジアラビアとヴィニシウスが意味不明の騒ぎを起こし、マドリーは苛立ちを感じている。とてもではないがベストのタイミングとはいえず、意図することも期待することもしていなかったオペレーションがマドリーを窮地に追い込んでいる」とマドリーの心境を代弁する。

 バルセロナ寄りの識者の中には、強気な態度が災いして、契約延長交渉が難航し、クラブを追われる羽目になったクリスティアーノ・ロナウドやセルヒオ・ラモスの例を引き合いに出しながら、「フロレンティーノ・ペレス会長は、ヴィニシウスの残留を希望しているが、どんな値段でもというわけではない。サウジアラビアが白いテーブルに5億ユーロ(約800億円)以上の金額を提示すれば、ヴィニシウスは近年、マドリーを去った他のスター選手たちと同じ扱いを受けるだろう」といった『ムンド・デポルティボ』の編集長、サンティ・ノジャ氏のような意見も出ている。

 前出のガビロンド記者は、現在の三者三様の構図を「ヴィニシウスはマドリーにとって必要不可欠な戦力であり、年齢と実績を考慮すれば、たとえ彼が退団を望んだとしても決して手放すことはない選手だ。しかしサウジアラビアは、欧州サッカーのガチガチの伝統に風穴を開けようと、オイルで磨いた札束をごっそり握って、サンティアゴ・ベルナベウの奥深くまで入り込もうとしている」と描写する。

 昨今、欧州のクラブを震撼させているサウジアラビアの巨額マネーが、シーズンの真っ只中に中心選手のヴィニシウスを震源地にして、天下のマドリーにまで触手を伸ばしている。

文●下村正幸

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