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海外サッカー

欧州サッカーを彩る「北欧出身ストライカー」、今夏の移籍マーケットでの注目銘柄はバルサらが獲得を狙う2人のスウェーデン代表FW

下村正幸

2025.02.20

バルサへの移籍が噂されるイサク(左)とギェケレシュ(右)。(C)Getty Images

バルサへの移籍が噂されるイサク(左)とギェケレシュ(右)。(C)Getty Images

 近年、北欧出身のストライカーの活躍が欧州サッカーを彩っている。過去にもヘンリク・ラーション、ジョン・カリュー、ズラタン・イブラヒモビッチのようなワールドクラスのクラックを輩出していたが、アーリング・ハーランド(マンチェスター・シティ)を筆頭に、アレクサンデル・イサク(ニューカッスル)、ヴィクトル・ギェケレシュ(スポルティング)、アレクサンダー・セルロト(アトレティコ・マドリー)、ヨルゲン・ストランド・ラーセン(ウォルバーハンプトン)など、その“生産頻度”が明らかに高まっている。
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 元バルセロナの選手、ボージャン・クルキッチの実父で、自身も長きにわたってバルサのスカウトを務めたボージャン・クルキッチ・シニア氏は、スペイン紙『スポルト』でその背景について「数年前までは、北欧諸国のチームと言えば、クラブか代表かを問わず4-4-2のシステムを採用して、後方からロングボールを放り込み、強靭なフィジカルを持った選手があらゆる局面で激しい肉弾戦を繰り広げるサッカーを展開していた。しかし、最近は大きく様変わりした。DFラインからスムーズにビルドアップし、ポセッションを高めることができる創造性豊かな選手を起用するなど、様々なシステムを目にするようになった」と見解を語っており、さらその指摘は、サッカー面だけでなく、社会面にも及ぶ。

「北欧諸国は移民が多いという利点がある。これらの国のリーグに所属する選手の顔ぶれを見ると、幼少期に移住した後、異文化に適応し、教育を受け、価値観を身につけながら育った二重国籍の選手が、下部組織、トップチームを問わず数多くプレーしていることが分かる。彼らの出身国は、才能を伸ばす上で重要なスキルを培うことができるストリートサッカーが盛んな国が多い。また、気候や生活習慣によりストリート育ちが少ない純血の北欧出身の選手にはない創造性を持っている。ひたむきさ、プロ意識、教育環境、メンタリティーといった点においても従来の選手とは異なった特徴を持ち、それが創造性を生み出す源泉にもなっている。とりわけ現代サッカーにおいてFWは、強さ、激しさ、才能、集中力、注意力、向上心、競争力、継続的なパフォーマンス、プロ意識など様々な資質や能力が求められる。文化の融合が、北欧諸国を、そうした要素をすべて兼ね備えたストライカーを輩出する土壌の形成に寄与している」
 
 ちなみにイサクとギェケレシュは、いずれもスウェーデン生まれだが、前者は両親ともエストニア人、後者はハンガリー系のスウェーデン人だ。ボージャン氏はこの2人について、「ハーランド、セルロト、ラーセンといった純ノルウェー人よりも創造性において優れている」と強調する。

 奇しくもイサクとギェケレシュは、現在バルサの獲得候補に挙がっているが、ジャーナリストのシャビエル・ボッシュ氏は「ギェケレシュは典型的な9番だ。得点力でイサクを上回る。一方、イサクは、スピードと万能性でギェケレシュを上回る」と両者を対比する。

 ニューカッスルのレジェンド、アラン・シアラー氏もイサクの万能性に着目する1人で、「素晴らしい選手だ。ほとんど何でもできる。CFを主戦場にしながら、サイドから仕掛けを見せ、足元も上手い」と賞賛する。

 スペインではイサクのその爆発的なスピードをサミュエル・エトーと、万能性をカリム・ベンゼマと重ねる声もあるが、ボージャン氏は「スピード、パワー、テクニックの三拍子が揃い、CFながら最前線にとどまることなく、左サイドからの仕掛けも得意とする。判断力に優れ、ゴールもアシストもこなし、狭いスペースでプレッシャーがかかっている局面でも、巧みなボールタッチで打開する」と分析。バルサも含めた欧州のビッグクラブにとっては、「スキル、ハートの強さ、年齢を考慮すると最善のオプション」と太鼓判を押す。彼らが今夏の移籍マーケットでどのような動きをみせるか、注目だ。

文●下村正幸

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