「トリデンテ」という言葉が、再びスペインサッカー界を席巻している。
【動画】「さらっとやってのけた」ヤマルが4点目! バルサがドルトムントに快勝
過去にもバルセロナのリオネル・メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの「MSN」、レアル・マドリーのガレス・ベイル、カリム・ベンゼマ、クリスチアーノ・ロナウドの「BBC」などが輝きを放つたびにトレンドとなったが、今、話題の中心にいるのは、ラ・リーガで首位を走るバルサのロベルト・レバンドフスキ、ラフィーニャ、ラミネ・ヤマルが構成する前線トリオであり、その比較対象とされるキリアン・エムバペ、ヴィニシウス・ジュニオール、ロドリゴからなるマドリーの前線トリオだ。
三又の矛という意味を持つ「トリデンテ」とはすなわち、3人のスタープレーヤーの前線での共演だ。ただバルサを長年追い続けている重鎮記者、リカルド・トルケマダ氏が「攻守が分断しがちで、コピーするのが難しいシステムだ。前線の3人の存在によって崩れるバランスを、後方の選手がカバーしなければならない。それは決して小さくない負担だ」と指摘するように、機能させるには攻守のバランスの整備が大前提となる。
しかも1980年代にバルサで名ウイングとして鳴らしたフランシスコ・ホセ・カラスコ氏が「指導者にとって最も難しいのは、前線の選手に守備の意識を植え付けることだ」と強調するそのハードルの高い作業を、スタープレーヤーに対して行なわなければならない。過去には看板倒れに終わったケースも少なくなく、パリ・サンジェルマンにおけるメッシ、エムバペ、ネイマールの「MMN」はその代表例だ。そして、カルロ・アンチェロッティ監督が再三にわたりバランスの重要性を訴えても、前線の選手に守備の意識が定着しない今シーズンのマドリーも、その兆候を垣間見せている。
一方で、最高の成功例は、結成1年目の2014-15シーズンに3人合わせて122得点、翌2015-16シーズンに131得点を叩き出した「MSN」で異論はないだろう。ほぼ同時期に活躍した「BBC」も、3人の個の力を基にした破壊力は抜群だった。
そうした面々と比べると、現在のバルサのトリデンテは、ネームバリューでやや劣る。それは今シーズンの開幕前には、話題にもされていなかったことからも明らかだ。しかし、そんな中、ここまでレバンドフスキ(40得点)、ラフィーニャ(28得点)、ヤマル(14得点)と合計で82得点をマーク。ハンジ・フリック監督の適材適所の采配に加えて、その活躍を支えているのが補完性の高さだ。前述のトルケマダ氏は次のように解説する。
「バルサの3人は、三者三様の個性を存分に発揮している。レバンドフスキはポストプレーで前線の基準点となりながら、フィニッシュの局面で違いを作り出している。ヤマルはサイドにおいて1対1で止められない存在となり、中盤の選手と連携を取りつつ、中央突破も図っている。ラフィーニャはDFラインの裏に抜け出してゴールを脅かす動きを繰り返すことで、攻撃に奥行きを与えている。完璧な組み合わせだ。サッカー史上最も持続性が高いトリデンテだ」
それはエムバペとヴィニシウスの得意とするプレーエリアが被り、ヴィニシウスとロドリゴの得意なポジションが重なるマドリーとは対照的だ(マドリーの3人の合計は64得点)。さらにバルサは、出番を得ればハイペースで得点を重ねるフェラン・トーレス(16得点)というジョーカーも擁する。チーム同様に、ここまでのところスペイン2強によるトリデンテ対決は、下馬評を覆してバルサに軍配が上がっている。
文●下村正幸
【画像】「彼らは歴史を作った。今度は俺たちの番だ」バルサ公式が新旧トリデンテの画像を投稿!
【動画】「さらっとやってのけた」ヤマルが4点目! バルサがドルトムントに快勝
過去にもバルセロナのリオネル・メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの「MSN」、レアル・マドリーのガレス・ベイル、カリム・ベンゼマ、クリスチアーノ・ロナウドの「BBC」などが輝きを放つたびにトレンドとなったが、今、話題の中心にいるのは、ラ・リーガで首位を走るバルサのロベルト・レバンドフスキ、ラフィーニャ、ラミネ・ヤマルが構成する前線トリオであり、その比較対象とされるキリアン・エムバペ、ヴィニシウス・ジュニオール、ロドリゴからなるマドリーの前線トリオだ。
三又の矛という意味を持つ「トリデンテ」とはすなわち、3人のスタープレーヤーの前線での共演だ。ただバルサを長年追い続けている重鎮記者、リカルド・トルケマダ氏が「攻守が分断しがちで、コピーするのが難しいシステムだ。前線の3人の存在によって崩れるバランスを、後方の選手がカバーしなければならない。それは決して小さくない負担だ」と指摘するように、機能させるには攻守のバランスの整備が大前提となる。
しかも1980年代にバルサで名ウイングとして鳴らしたフランシスコ・ホセ・カラスコ氏が「指導者にとって最も難しいのは、前線の選手に守備の意識を植え付けることだ」と強調するそのハードルの高い作業を、スタープレーヤーに対して行なわなければならない。過去には看板倒れに終わったケースも少なくなく、パリ・サンジェルマンにおけるメッシ、エムバペ、ネイマールの「MMN」はその代表例だ。そして、カルロ・アンチェロッティ監督が再三にわたりバランスの重要性を訴えても、前線の選手に守備の意識が定着しない今シーズンのマドリーも、その兆候を垣間見せている。
一方で、最高の成功例は、結成1年目の2014-15シーズンに3人合わせて122得点、翌2015-16シーズンに131得点を叩き出した「MSN」で異論はないだろう。ほぼ同時期に活躍した「BBC」も、3人の個の力を基にした破壊力は抜群だった。
そうした面々と比べると、現在のバルサのトリデンテは、ネームバリューでやや劣る。それは今シーズンの開幕前には、話題にもされていなかったことからも明らかだ。しかし、そんな中、ここまでレバンドフスキ(40得点)、ラフィーニャ(28得点)、ヤマル(14得点)と合計で82得点をマーク。ハンジ・フリック監督の適材適所の采配に加えて、その活躍を支えているのが補完性の高さだ。前述のトルケマダ氏は次のように解説する。
「バルサの3人は、三者三様の個性を存分に発揮している。レバンドフスキはポストプレーで前線の基準点となりながら、フィニッシュの局面で違いを作り出している。ヤマルはサイドにおいて1対1で止められない存在となり、中盤の選手と連携を取りつつ、中央突破も図っている。ラフィーニャはDFラインの裏に抜け出してゴールを脅かす動きを繰り返すことで、攻撃に奥行きを与えている。完璧な組み合わせだ。サッカー史上最も持続性が高いトリデンテだ」
それはエムバペとヴィニシウスの得意とするプレーエリアが被り、ヴィニシウスとロドリゴの得意なポジションが重なるマドリーとは対照的だ(マドリーの3人の合計は64得点)。さらにバルサは、出番を得ればハイペースで得点を重ねるフェラン・トーレス(16得点)というジョーカーも擁する。チーム同様に、ここまでのところスペイン2強によるトリデンテ対決は、下馬評を覆してバルサに軍配が上がっている。
文●下村正幸
【画像】「彼らは歴史を作った。今度は俺たちの番だ」バルサ公式が新旧トリデンテの画像を投稿!
関連記事
- 「センスの光る美しい動き」「精彩を欠いた試合」 敗北を喫したマジョルカ戦での久保建英に対する現地メディアの評価は様々
- 「MOMに相応しい」旗手怜央、4連覇に王手をかけた一戦での2ゴールで現地メディアから高評価!「プレー全体から上質さが滲み出ていた」
- 「ここ数十年で最悪の夜」と地元紙が悲嘆したマドリーのCL大敗…ホームでの逆転には「奇跡が起きるとは信じがたい」「何が起こってもおかしくない」と見方は二分
- 「とんでもないパフォーマンス」ドルトムント戦の大勝劇で躍動した神童ヤマルを現地紙が激賞!「バロンドール候補であることの十分な証明」
- 売却候補から一転、不可欠なリーダーに! フリック監督の就任で大化けしたラフィーニャ、現地メディアも「27、28歳でこれほどの覚醒を遂げた選手は記憶にない」