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Jリーグ・国内

中大バスケ部・サッカー部はなぜ一般社団法人を立ち上げたのか?【前編】学生アスリートに「普通の環境」を

中野吉之伴

2023.08.09

 ただ、いくら「セカンドキャリアの選択肢が増える」といううたい文句があったとしても、大学サッカー界のスポーツ環境が、そこに来ることを後悔するような環境では元も子もない。

 普段私たちが生活をしていると、彼らがどのような環境でプレーしているかという実情はなかなか見えてきづらい。もちろんプロ顔負けの素晴らしい施設を備えている大学もあるし、選手の成長を真剣に考え、親身になってサポートしている指導者や関係者もたくさんいることをまず強調しておきたい。
 
 ただそれでも、「その環境や考え方は良くない」を超えて、「危険でさえある」という部分も少なからずある点を留意する必要がある。

 例えばとある大学の寮では、学生アスリートが一部屋10人以上で生活するところもあったという。流石にコロナ禍を経て、以前よりは改善されたとはいえ、それは社会的にも改善せざるをえなくなったという背景があったからともいえなくはない。

 渡辺「うちのバスケ部でですと、利用していた寮が築50年くらいの古い寮なんですね。バスケ部は基本的に夜練習なので、寮に帰るのが10時とか10時半とかになる。ただそうなると、寮の晩御飯に間に合わないので、自炊になります。ただ、その自炊できる場所は衛生面でかなり問題があって。サッカー部も同様で食事が大きな問題になっています。こちらは寮で食事がとれるのですが、そのクオリティが相当によろしくない。食費関係、調達コストが上がってるのはわかるんですけれども、『いくら何でも…』と嘆きたくなるレベルです。選手たちが貧困な食事に悩んでいるという現状をどうにかしなければならない」

 食事以外でも環境に問題を抱えている。中大バスケ部が練習で使用している体育館に冷房が入ったのはほんの数年前。それまでは真夏だと体感40度超えというありえない環境だったという。

 渡辺「『大学スポーツは《知育》《徳育》《体育》、要するに教育の一環である』という強調をされる方はいまだに少なくありません。だからそんな『整った環境は必要ないし、プロと同じような環境なんてましてや必要ない』という感覚が未だに根強いんです」
 
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