サウジの日刊紙『Al-Bilad』は、「前半はアル・ヒラルがほぼ完全に試合を支配。選手たちはキレのある動きを見せ、幾つもの決定機を作りながらもゴールには至らず。対するマドリーの選手たちは、成す術なく見えた。後半はマドリーが徐々にパフォーマンスを上げ、終盤には勝ち越しゴールを狙って猛攻を仕掛けたが、アル・ヒラルはGKボノを中心に堅い守備を築き、粘り強く対応し、攻撃ではカウンターで応戦した」と伝え、この結果を「歴史的」と表現した。

  　マドリー同様、アル・ヒラルも新監督を迎えての初戦となった。インテルから新天地をサウジに求めたシモーネ・インザーギは、「良い試合だった。世界で３本の指に入るチームに対して、選手たちは素晴らしい組織力と個性を発揮してプレーした。このパフォーマンスには満足している。これ以上のことは望めないほどだった。今後の活躍にも期待している」と満足感を示している。

　母国イタリアでは、インテル退団の経緯が物議を醸した。マドリー戦前日には「今日もまた色々なことを言われた。インテルの時もずっとそうだった。しかし、この４年間のために払うべき代償がそれならば、私は喜んで払う。批判など、私がインテルで受け取った愛情に比べれば、取るに足らないものだ」と語った新指揮官だが、新たなキャリアは好スタートとなった。スポーツ紙『Gazzetta  dello Sport』は、「インザーギにとって価値のある引き分け。格下とされながら、よく健闘した」とポジティブに評価した。

　話題をマドリーに戻すと、各国メディアは軒並みアル・ヒラルに苦戦したチームをネガティブに扱った。とくに厳しい論調を展開したのが、やはりと言うべきかバルセロナのスポーツ紙『MUNDO DEPORTIVO』。同紙は、「新たなマドリーもサッカーのやり方を分かっていない」と宿敵を一刀両断している。

「このチームは相変わらず野暮ったくて遅く、予測しやすいマドリーのままだ。もちろん、誰もが『さなぎが一晩で蝶になるわけではない』ことは分かっているが、それでもX・アロンソの情熱や指導力によって、何かが変わるのでは、という淡い期待もあった。実際、試合序盤は前線からのプレスが少し見られたが、その試みはすぐに崩れた。そして明らかになった事実がある。このチームは『フットボール』を知らないだけでなく、『サッカー』のやり方も分かっていない」

　あえて、「フットボール」「サッカー」と記述を分け、マドリーが欧州だけでなく、米国でも「レベルの低さ」によって一般層のファンには全く響かなかったことを強調した同メディアは、「そんな状況で、今マドリーがすべきことは、『これ以上悪くなることはない』と前向きに捉えることだ。そして、この試合で見せた低調なプレーからどれだけ改善できるかに全てが懸かっている。もし立て直しに成功すれば、若い世代を引きつける力も取り戻せるだろう。さもなければ……それは深刻な問題だ」と、宿敵に“助言”した。

構成●THE DIGEST編集部
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