「自分で言うのも何ですが、高校からでも相当上手くなりました」
その証となるのが卒業後の進路で、東京農業大学にサッカーの特待生として進学している。深刻な怪我のため大学在学中に選手としてのキャリア継続を断念し、卒業後はスポーツビジネスを学びながらイングランドとスペインで指導者となるためのライセンスを取得した。そうした海外での見聞も踏まえて、日本のサッカースクールで指導の現場に立つと、首を傾げざるをえなかった。サッカー以前の運動の基本動作に問題を抱えた子どもたちが、こんなにもいるのかと。
ZOZOパークのマッチングで鈴木が未就学児に惹かれたのも、そこでスポーツプログラムを提供しているのも、偶然ではないだろう。
「最近の子どもたちは、息を吸う力や吐く力も十分ではないようです」
スポーツプログラムに取り入れている呼吸のトレーニングは、幼児たちの生命力そのものを高めていく試みとも言えそうだ。
ソルティーロGSAインターナショナルスクールの所在地は、長期的かつ大規模な街づくりが進められているベイエリアの一角だ。タワーマンションや商業施設が同じ敷地内にあり、高層の住宅棟はさらにいくつも建設される計画となっている。若いファミリー層の居住者が増えていく見込みで、教育への関心の高さを鈴木はすでに実感している。
開園から半年足らずで見えてきた課題のひとつは、園児の保護者をいかに安心させるかだ。多くの親御さんが知りたがるのは、子どもが何をできるようになったか。我が子の成長ぶりを気に掛けるのは当然であり、達成の度合いを〝見える化〞する工夫も必要だろうと鈴木は考えている。
「幼児の運動能力可視化は基本的には難しいです。それでも10m走を0.5秒速く走れるようになったと親御さんが把握できるような、定量化の試みがあえて必要なのかもしれません」
ただし――。鈴木は真っ直ぐな目をどこかの親御さんに向けているかのような表情で、こう付け加える。
「どんな運動動作だろうと、本当は成長に伴って自然とできるようになる。僕はそう考えています。スポーツプログラムはそのコツを掴むきっかけを与えているだけで、実際にできるようになるのは子どもたちなんです」
我が子の健やかな成長を願う当たり前の親心が、かえってネガティブに作用しないように制御する配慮も欠かせないと鈴木は考えている。
「入園の時期が同じでも、4月生まれの園児と、9月生まれの園児、さらには翌年3月生まれの園児では、同じ運動動作ができるようになるタイミングがそれぞれ違ってくるはずです。それに同じ4月生まれでも、早熟な子もいれば、晩熟な子もいるでしょう」
そうした個体差を無視して、同じ時期に「できた」「できない」と園児たちを比較する弊害は無視できない。
「大人が子どもたちの運動動作達成度を安易に比べてしまうと、その運動動作をうまくできずにいる園児は、自分が〝不正解〞だと思ってしまいかねません」
子ども自身の負けず嫌いは、むしろ歓迎できると鈴木は言う。
その証となるのが卒業後の進路で、東京農業大学にサッカーの特待生として進学している。深刻な怪我のため大学在学中に選手としてのキャリア継続を断念し、卒業後はスポーツビジネスを学びながらイングランドとスペインで指導者となるためのライセンスを取得した。そうした海外での見聞も踏まえて、日本のサッカースクールで指導の現場に立つと、首を傾げざるをえなかった。サッカー以前の運動の基本動作に問題を抱えた子どもたちが、こんなにもいるのかと。
ZOZOパークのマッチングで鈴木が未就学児に惹かれたのも、そこでスポーツプログラムを提供しているのも、偶然ではないだろう。
「最近の子どもたちは、息を吸う力や吐く力も十分ではないようです」
スポーツプログラムに取り入れている呼吸のトレーニングは、幼児たちの生命力そのものを高めていく試みとも言えそうだ。
ソルティーロGSAインターナショナルスクールの所在地は、長期的かつ大規模な街づくりが進められているベイエリアの一角だ。タワーマンションや商業施設が同じ敷地内にあり、高層の住宅棟はさらにいくつも建設される計画となっている。若いファミリー層の居住者が増えていく見込みで、教育への関心の高さを鈴木はすでに実感している。
開園から半年足らずで見えてきた課題のひとつは、園児の保護者をいかに安心させるかだ。多くの親御さんが知りたがるのは、子どもが何をできるようになったか。我が子の成長ぶりを気に掛けるのは当然であり、達成の度合いを〝見える化〞する工夫も必要だろうと鈴木は考えている。
「幼児の運動能力可視化は基本的には難しいです。それでも10m走を0.5秒速く走れるようになったと親御さんが把握できるような、定量化の試みがあえて必要なのかもしれません」
ただし――。鈴木は真っ直ぐな目をどこかの親御さんに向けているかのような表情で、こう付け加える。
「どんな運動動作だろうと、本当は成長に伴って自然とできるようになる。僕はそう考えています。スポーツプログラムはそのコツを掴むきっかけを与えているだけで、実際にできるようになるのは子どもたちなんです」
我が子の健やかな成長を願う当たり前の親心が、かえってネガティブに作用しないように制御する配慮も欠かせないと鈴木は考えている。
「入園の時期が同じでも、4月生まれの園児と、9月生まれの園児、さらには翌年3月生まれの園児では、同じ運動動作ができるようになるタイミングがそれぞれ違ってくるはずです。それに同じ4月生まれでも、早熟な子もいれば、晩熟な子もいるでしょう」
そうした個体差を無視して、同じ時期に「できた」「できない」と園児たちを比較する弊害は無視できない。
「大人が子どもたちの運動動作達成度を安易に比べてしまうと、その運動動作をうまくできずにいる園児は、自分が〝不正解〞だと思ってしまいかねません」
子ども自身の負けず嫌いは、むしろ歓迎できると鈴木は言う。