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海外サッカー

人工都市、過酷労働、裏金、灼熱……2022年W杯開催国カタールの「真の姿」とは?

ワールドサッカーダイジェスト編集部

2020.01.16

閑古鳥が鳴くカタール・リーグ。文字通りカネをばらまいて観客を集める。(C)REUTERS/AFLO

閑古鳥が鳴くカタール・リーグ。文字通りカネをばらまいて観客を集める。(C)REUTERS/AFLO

 カタール大会は私にとって実に10回目のW杯取材となる。そのメモリアルな大会の真実をこの目で確かめるため、19年夏にカタールへと飛んだ。

 まずは国内リーグを見に行った。試合は全て19時30分のキックオフ。日没からすでに1時間以上が経っているが、それでも気温は摂氏30度を超えていた。この時期にW杯開催なんて不可能に近い。ナイトゲームだけの冬大会になった理由は明らかだ。

 サポーターはいるにはいたが、その数はかなり少なかった。観客が50人、100人という試合が現地では当たり前だという。私はスタジアムで知り合った数人のインド人と話をした。試合に来ると10ドル(約1100円)がもらえるそうだ。そしてチャントを歌ったり、太鼓を叩いたりすれば、もう10ドルのボーナスがあるという。

 カタールの人口は約260万人だが、純粋なカタール人はその1割ほど。高齢者や女性、子供を入れてその数だ。残る9割は外国人労働者で、主にパキスタン、インド、バングラデシュ、ネパール、フィリピン、タイ、スリランカなどの出身。いずれもサッカーが盛んな国ではない。ヨーロッパ出身者もいるが、レベルの低い国内サッカーを観に行く者はほとんどいない。

 だから国内リーグでは、文字通りカネをばら撒いて観衆を集めているのだ。W杯でも地元サポーターの盛り上がりはあまり期待できないだろう。
 
 続いて私は、ルサイルに潜入した。ほとんど何もなかった砂漠に、W杯のために作っている湾岸人工都市だ。いまだ作業員しか見当たらないゴーストタウンだったが、砂漠だった場所には電気や水道などのインフラが整えられている最中で、美しく大きなホテル、ショッピングモール、レジャー施設、人工の浜辺とともに、開幕戦と決勝が開催される8万人収容のスタジアムが建設中だった。

 W杯のために「町をまるまる造ってしまう」という突飛な発想からは、「普通には開催しない。史上初の中東W杯に相応しい、様々な意味で史上初の大会にしたい」というカタールの思惑が見て取れる。
 

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