かくして、ネイマールは至る所で軋轢を生み、あと一歩のところで足踏みを続けるばかりだ。あと一歩で世界チャンピオンなのに、あと一歩で世界ナンバー1なのに……。あと一歩が、どうしても超えられない。ネイマールにはできないだろう。ペレのように生涯1000ゴールを奪うことも、ワールドカップで3度優勝することも。ゴールデンブーツも、バロンドールも、ネイマールは獲れないだろう。
カタールで開催される2年半後のワールドカップは、おそらくネイマールにとって最後のワールドカップとなるはずだ。その時は30歳になっているが、ネイマールが人として成熟していることはないだろう。父親の庇護の下、相変わらず子供のように振る舞っているはずだ。父のネイマール・シニアもまた、スーパースターの息子をきちんと導くための教育を受けていない。
18年のロシア・ワールドカップで、私は我が目を疑った。ネイマール・シニアがセレソンのロッカールームに自由に出入りしているのだ。いくらエースの父親とはいえ部外者だ。選手と監督と限られたスタッフにしか開かれていない“聖域”を部外者が侵すその光景に唖然とした私は、CBF(ブラジル・サッカー連盟)の関係者を捕まえて指摘すると、その彼はこう言った。
「そりゃあ……、ネイマールだからだよ。我々に何ができる?」
私はこの件を直接ネイマールにぶつけてみた。自分の親だけが特別待遇を受けてロッカールームに出入りしていたら、他の選手の反感を招くと思わないのかと。このときのネイマールの言葉は忘れない。
「俺には親父が必要だから入ってもらったんだ。それに親父はチームのみんなとも友だちだ。だからなんの問題もないよ!! それに親父がいると俺も落ち着いて試合に臨めるわけで、それはチームにとって良いことだろ。だからハーフタイムにも来てもらうんだ」
そう語るネイマールは純真無垢、悪びれたところがまったくなかった。
これが逆の立場だったらと、彼にはその想像がつかないのだ。マルセロの父親が、ガブリエウ・ジェズスの母親が、フィリッペ・コウチーニョの叔父がロッカールームに出入りしていたら、自分はどう思うか。幼い頃から特別扱いされ、きちんとした教育を受けてこなかったネイマールには、そんな想像力が決定的に欠落している。他者を慮ることができないのだ。
無邪気に答えるネイマールに、私はこう言うしかなかった。
「よく考えてみてくれ。きっと試合前は……、選手たちだけで過ごすほうがいいんじゃないかな?」
カタールで開催される2年半後のワールドカップは、おそらくネイマールにとって最後のワールドカップとなるはずだ。その時は30歳になっているが、ネイマールが人として成熟していることはないだろう。父親の庇護の下、相変わらず子供のように振る舞っているはずだ。父のネイマール・シニアもまた、スーパースターの息子をきちんと導くための教育を受けていない。
18年のロシア・ワールドカップで、私は我が目を疑った。ネイマール・シニアがセレソンのロッカールームに自由に出入りしているのだ。いくらエースの父親とはいえ部外者だ。選手と監督と限られたスタッフにしか開かれていない“聖域”を部外者が侵すその光景に唖然とした私は、CBF(ブラジル・サッカー連盟)の関係者を捕まえて指摘すると、その彼はこう言った。
「そりゃあ……、ネイマールだからだよ。我々に何ができる?」
私はこの件を直接ネイマールにぶつけてみた。自分の親だけが特別待遇を受けてロッカールームに出入りしていたら、他の選手の反感を招くと思わないのかと。このときのネイマールの言葉は忘れない。
「俺には親父が必要だから入ってもらったんだ。それに親父はチームのみんなとも友だちだ。だからなんの問題もないよ!! それに親父がいると俺も落ち着いて試合に臨めるわけで、それはチームにとって良いことだろ。だからハーフタイムにも来てもらうんだ」
そう語るネイマールは純真無垢、悪びれたところがまったくなかった。
これが逆の立場だったらと、彼にはその想像がつかないのだ。マルセロの父親が、ガブリエウ・ジェズスの母親が、フィリッペ・コウチーニョの叔父がロッカールームに出入りしていたら、自分はどう思うか。幼い頃から特別扱いされ、きちんとした教育を受けてこなかったネイマールには、そんな想像力が決定的に欠落している。他者を慮ることができないのだ。
無邪気に答えるネイマールに、私はこう言うしかなかった。
「よく考えてみてくれ。きっと試合前は……、選手たちだけで過ごすほうがいいんじゃないかな?」