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海外サッカー

ネイマールは「悪い奴」ではなく「超世間知らず」。旧知の記者が語る実像とは?

ワールドサッカーダイジェスト編集部

2020.02.29

親友ハミルトン(右)は父離れが功を奏し、F1王者に。しかしネイマール(左)は……。(C)Getty Images

親友ハミルトン(右)は父離れが功を奏し、F1王者に。しかしネイマール(左)は……。(C)Getty Images

 ネイマールと同じように、あと一歩のところで殻を突き破れずにいたのが、ルイス・ハミルトンだ。このF1の世界チャンピオンは、ネイマールの親友でもあり、カネのかかった奇抜なファッション、パーティー好きといった共通点を持っている。このハミルトンの父親も、ネイマール・シニアに負けないくらいすべてに口を出す存在だった。

 しかし、ハミルトンは6年前に自立した。腕利きのマネージャーを雇い、父親から離れたのだ。その結果が、6度のワールドチャンピオンである。

 ネイマールはシモンエスが言うようなモンスターではないはずだ。しかし同時に、誰もがそうなると確信した世界ナンバー1でもない。

 ネイマールのバルサ移籍が決まったとき、私はがっかりした。愛よりカネを取ったその心根に、だ。当時はそれがどうしても理解できなかった。でも、いまなら分かる。ネイマールは無邪気に信じ切っているのだ。望みはすべて叶えられると。自分に都合の悪いことは起こりえないと。だから何のためらいもなくバルサに移籍した。
 
 いまはパリに居ながらバルサへの愛を隠さない。それが悪いことだとは微塵も思わずに。なぜ非難されなくちゃならないのか、理由が分からない。だから苛立ち、喧嘩する――。見事な悪循環だ。

 サッカーが上手いだけで生きてはいけない。ネイマールがこの真理に気づく日は、はたして来るのだろうか。

文:リカルド・セティオン
翻訳:利根川晶子
※『ワールドサッカーダイジェスト』2020年2月6日号より転載

【著者プロフィール】
リカルド・セティオン/1963年8月29日生まれ、ブラジル・サンパウロ出身。ジャーナリストとして中東戦争やユーゴスラビア紛争などを現地取材した後、社会学としてサッカーを研究。スポーツジャーナリストに転身する。8か国語を操る語学力を駆使し、世界中を飛び回って現場を取材。多数のメディアで活躍する。FIFAの広報担当なども務め、ジーコやカフーなどとの親交も厚い。現在はスポーツ運営学、心理学の教授としても大学で教鞭も執っている。
 

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