テニス四大大会の男子の試合は５セットマッチです。全仏オープンのシナー対アルカラスの決勝戦は、５時間29分の大接戦となりました。５セットマッチは、グランドスラム（四大大会）ならではの醍醐味という意見と同時に、長すぎるとの声もあります。

　男子のツアー大会は３セットマッチで、女子は四大大会もツアー大会も３セットです。男子の四大大会も３セットでいいのではという考えや、準々決勝以降から５セットにするのはどうかなど、試合形式に関して様々な意見が出てきています。

　私は大会の途中からセット数を変えるのは反対です。大会の条件は同じにしておくべきだと思うので、そこまでするなら全て３セットでいいと思います。タイブレークを５セット行なうという大胆な発想もあるようですが、これはかなり運の要素が大きくなるでしょう。

　テニスの試合は長いためテレビ放映向きではないとよく言われます。だからこそ、短くなるように改良されて、グランドスラムの５セット目は２ゲームアップで決着をつけるのではなく、タイブレークになりました。
  　もう、ウインブルドンの伝説となっている３日間に及んだ試合も行なわれることはありません。例えば、今年の全仏オープン決勝の５セット目はタイブレークでアルカラスが勝利しましたが、これが２ゲームアップするまで終わらない以前のルールだったら結果はどうなっていたのでしょうか。歴史に残りそうな試合が減っていくのは、残念な気がします。

　ただ、５時間に及ぶ試合を見るのは大変でしょう。５セットを戦ったことはありませんが、３セットの試合でも、全ての時間を全力でプレーするわけではありません。抜く場面、集中する場面があるものです。５セットを戦うなら、当然抑えてプレーする時間帯、スイッチを入れる時が出てきます。

　見る側も、その流れを感じ取り、５時間集中するのではなく、メリハリを付けて観戦すると、面白みが増すのではないでしょうか。ただ、試合時間が長いのは確かなので、時短が推奨される現代においては、そのうち３セットになっていく可能性はあります。10年後いや、５年後には５セットではないかもしれませんね。

　グランドスラムが３セットになったら、あっさりしていると感じそうです。しかし、それに合わせて、テニスも変わるはずですし、勝つ選手も変わってくるでしょう。日本人選手にとっても３セットの方がチャンスがあると感じます。

文●伊達公子
撮影協力／株式会社SIXINCH.ジャパン

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