間もなく開幕する今季最後の四大大会「全米オープン」(8月24日~9月7日/アメリカ・ニューヨーク/ハードコート)の男子シングルスに出場する元世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア/現7位)が大会開幕前の記者会見に出席。その中で四大大会に次ぐグレードのマスターズ1000シリーズの開催日程が約2週間に拡張されたことに不満を示し、「もはや楽しめない」と率直に語った。
既報の通り男子テニスツアーを統括するATP(男子プロテニス協会)は、プロテニスを新たな高みに導くことを目標とする「One Visionプロジェクト」の一環で、2023年シーズンから一部マスターズ1000大会の開催期間およびドロー数を従来の8日間・56ドローから12日間・96ドローに拡大している。
ジョコビッチが欠場した先日の「ナショナルバンク・オープン」(カナダ・トロント)と「シンシナティ・オープン」(アメリカ・シンシナティ)でも今年から新フォーマットを導入。現状マスターズ1000で従来のフォーマットを維持しているのは、「モンテカルロ・オープン」(モナコ/クレー)と「パリ・マスターズ」(フランス/ハード)の2大会だけだ。
ATPのアンドレア・ガウデンツィ会長(イタリア/52歳)によれば、マスターズ改革からわずか2年ほどで1,830万ドル(約26億9,400万円)もの莫大な利益がもたらされ、拡張戦略の成果は明確に表れているというが、ジョコビッチは刷新版マスターズに対して否定的な見方を示している。
今回の会見でジョコビッチは昨年同様カナダ・マスターズとシンシナティを欠場した理由について「家族と過ごす時間を優先したかった」と説明し、「僕にはもう出場する大会を自分で選ぶ権利があると思うし、そういう贅沢も許されると思っている」とコメント。その上で「正直、2週間のマスターズは日程が長すぎてもはや楽しめない」とし、現在は最高峰の四大大会を中心にスケジュールを組んでいると明かした。
もっともマスターズ1000の新フォーマットについてはジョコビッチの他、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ/現3位)やジャック・ドレイパー(イギリス/同7位)など多くのトップ選手からも批判の声が上がっている。しかしその割には現状を変えるための行動を起こす人が非常に少ないと、PTPA(プロテニス選手協会)創設者のジョコビッチは指摘する。
「僕自身は選手たちの考えを支持したい。ただ交渉や意思決定の場面で、選手たちが十分に関わっているとは思えなかった。事実そうした状況はずっと続いていて、特にトップ選手に当てはまる。気持ちを表明するのは良いことだが、本当に必要なのは時間と労力を割いて議論や会議に参加することだ。それが大変なのはわかるし、僕自身もそういう状況を何度も経験してきた。でも現状を変えるにはそういう姿勢が必要だと思う。そうすることで自分のためだけでなく、将来に向けて正しい方向に動き、貢献できるはずだ」
日程過密化が年々エスカレートしつつある男子ツアー。その中で長年トップに君臨し、幾度となく選手のために行動してきたジョコビッチの発言は重みを持つ。
文●中村光佑
【画像】ジョコビッチはじめ、全米オープン2024で熱戦を繰り広げた男子選手たちの厳選写真!
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既報の通り男子テニスツアーを統括するATP(男子プロテニス協会)は、プロテニスを新たな高みに導くことを目標とする「One Visionプロジェクト」の一環で、2023年シーズンから一部マスターズ1000大会の開催期間およびドロー数を従来の8日間・56ドローから12日間・96ドローに拡大している。
ジョコビッチが欠場した先日の「ナショナルバンク・オープン」(カナダ・トロント)と「シンシナティ・オープン」(アメリカ・シンシナティ)でも今年から新フォーマットを導入。現状マスターズ1000で従来のフォーマットを維持しているのは、「モンテカルロ・オープン」(モナコ/クレー)と「パリ・マスターズ」(フランス/ハード)の2大会だけだ。
ATPのアンドレア・ガウデンツィ会長(イタリア/52歳)によれば、マスターズ改革からわずか2年ほどで1,830万ドル(約26億9,400万円)もの莫大な利益がもたらされ、拡張戦略の成果は明確に表れているというが、ジョコビッチは刷新版マスターズに対して否定的な見方を示している。
今回の会見でジョコビッチは昨年同様カナダ・マスターズとシンシナティを欠場した理由について「家族と過ごす時間を優先したかった」と説明し、「僕にはもう出場する大会を自分で選ぶ権利があると思うし、そういう贅沢も許されると思っている」とコメント。その上で「正直、2週間のマスターズは日程が長すぎてもはや楽しめない」とし、現在は最高峰の四大大会を中心にスケジュールを組んでいると明かした。
もっともマスターズ1000の新フォーマットについてはジョコビッチの他、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ/現3位)やジャック・ドレイパー(イギリス/同7位)など多くのトップ選手からも批判の声が上がっている。しかしその割には現状を変えるための行動を起こす人が非常に少ないと、PTPA(プロテニス選手協会)創設者のジョコビッチは指摘する。
「僕自身は選手たちの考えを支持したい。ただ交渉や意思決定の場面で、選手たちが十分に関わっているとは思えなかった。事実そうした状況はずっと続いていて、特にトップ選手に当てはまる。気持ちを表明するのは良いことだが、本当に必要なのは時間と労力を割いて議論や会議に参加することだ。それが大変なのはわかるし、僕自身もそういう状況を何度も経験してきた。でも現状を変えるにはそういう姿勢が必要だと思う。そうすることで自分のためだけでなく、将来に向けて正しい方向に動き、貢献できるはずだ」
日程過密化が年々エスカレートしつつある男子ツアー。その中で長年トップに君臨し、幾度となく選手のために行動してきたジョコビッチの発言は重みを持つ。
文●中村光佑
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