テニス四大大会「全米オープン」男子シングルス準決勝で、スペインのカルロス・アルカラス（世界ランキング２位）が、元世界１位のノバク・ジョコビッチ（セルビア／同７位）との再戦を前に雪辱を誓っている。今年１月の全豪オープン以来の顔合わせとなる。

　通算対戦成績はジョコビッチの５勝３敗。昨夏のパリ五輪決勝、１月の全豪オープン準々決勝と、アルカラスが連敗を喫した。しかし、22歳は力強くこう言った。

「ノバクのプレーは誰もが知っている。ウインブルドン以降ツアーを離れていたことなんて関係ない。ここでも素晴らしい試合をしている。彼がハングリーで、さらなる野心を持っていることも知っている。だから注目してほしい。僕は彼と何度も対戦してきた。そして、本当にリベンジしたい。その思いは揺るがない」

　今大会のアルカラスは絶好調だ。ここまで５試合で１セットも落とさず、サービスゲームを破られたのはわずか１度。2000年代以降、サービスを２回以上落とすさずに準決勝へ進んだのは、フェデラーとナダルに続く３人目だ。優勝した「シンシナティ・オープン」から11連勝と波に乗り、２年ぶりの世界１位返り咲きも視野に入る。今季ツアー最多の59勝、６タイトルという数字が、彼の今の支配力を如実に示している。
  　一方、全米４度優勝のジョコビッチは、悲願である25度目のメジャー制覇を目指す。だが、四大大会ではここ３大会連続の準決勝敗退。さらに気掛かりなのがコンディションだ。本人も「（３回戦勝利後）グランドスラムでこれまでにないほど体調を心配した。この数日で身体を整え、５セットを戦えるようにしたい」と準備の難しさを認めている。

　アルカラスにとって忘れがたいのは、やはり全豪での敗戦だろう。第１セットを奪った直後、ジョコビッチの脚の不調を目にして心が揺らいだという。

「僕は試合をコントロールしていた。なのに、相手に息を吹き返させてしまった」

「第２セットでは、相手を限界まで追い詰めなくてはいけなかった。それができなかったために、彼はどんどんプレーのレベルを上げてきた」

　したたかなジョコビッチは「彼のためらいが見えていた」と、若きスターの迷いを見逃さず、試合をひっくり返した。結果は4-6、6-4、6-3、6-4。王者の経験と勝負勘が光った一戦だった。

　ニューヨークで再び迎えるビッグマッチで、若き挑戦者の願いが実るのか、それともレジェンドが再び跳ね返すのか。

構成●スマッシュ編集部

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