先日行なわれた今季最後のテニス四大大会「全米オープン」では、男子テニス元世界ランキング1位のダニール・メドベージェフ(ロシア/現18位)による「非スポーツマン的行為」が波紋を呼んだ。再びコートを騒然とさせた29歳には厳しい声が相次いだが、彼の心理士を務めるフランシスカ・ドーゼ氏はその振る舞いを擁護する姿勢を見せている。
事件が発生したのはベンジャミン・ボンジ(フランス/現45位)との1回戦で、ボンジが2セットを先取して迎えた第3セット第10ゲームだった。2度目のマッチポイントでボンジのファーストサービスがネットした直後、コートサイドのカメラマンが試合終了と勘違いしてコートに侵入。主審は「セカンドサービスが妨害された」と判断し、ファーストサービスからのやり直しを宣告した。
これに激昂したメドベージェフは観客を煽りながら抗議し、会場は大きなブーイングに包まれて6分以上試合が中断。ひとしきり主審に暴言を吐いたメドベージェフはプレー再開後に挽回して第3、4セットを奪い返したが、ファイナルセットはボンジに振り切られ3時間45分で初戦敗退となった。敗戦後にメドベージェフはラケットを激しく叩き壊す行為に及び、結果的に大会主催側から計4万2500ドル(約625万円)もの罰金処分を科された。
その後は元選手や専門家から多くの批判を浴びたメドベージェフ。しかし彼を精神的に支えてきたドーゼ氏は一連の騒動について「ダニールに深い悪意があるわけではなく、あれは瞬間的に噴出した感情だった」と前置きし、「状況全体を見て評価すべき」と自身の見解を主張する。
同氏は海外メディア『Tennis Majors』に対し、メドベージェフの非紳士的な行為は「観客の反応や主審の裁定、さらには試合中に蓄積する緊張が絡み合った」結果として生み出されたものだと発言。その後のメディアの報道については主審への暴言や試合中断、ラケット破壊など「多くの出来事が一緒くたにされてしまっているような印象を受ける」と指摘した。
その上でドーゼ氏は「観客も憤りを見せていた一方、その場の高揚を楽しんでもいた」とコメント。ブーイングなどの過剰な反応が選手の心理を一層揺さぶる要因になったとし、「審判がもっと強く介入していればあのような事態には発展しなかったかもしれない」と続けた。一方で今回のケースは「やはり複数の要素が絡んでいる」と改めて語り、メドベージェフに対する批判についてはこう言及した。
「人々は匿名性を利用し、“ダニールはこうだ、ああだ”と言いたい放題だった。実際には彼のことをほとんど知らないのに、目に見える一つの出来事だけで判断しているわけだ。私が言いたいのは、彼を一方的に擁護することではなく、知らない相手について公の場で軽々しく語ることにはもっと慎重になるように、ということだ」
ドーゼ氏の発言は、物議を醸したメドベージェフの行動に新たな視点を与えるものとなった。コート上の出来事をどう評価するかは容易ではないが、批判と同時に理解を試みる姿勢こそが、選手と競技を取り巻く環境をより健全にするのかもしれない。
文●中村光佑
【画像】メドベージェフほか、2025全米オープンを戦う男子トップ選手たちの厳選フォト
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これに激昂したメドベージェフは観客を煽りながら抗議し、会場は大きなブーイングに包まれて6分以上試合が中断。ひとしきり主審に暴言を吐いたメドベージェフはプレー再開後に挽回して第3、4セットを奪い返したが、ファイナルセットはボンジに振り切られ3時間45分で初戦敗退となった。敗戦後にメドベージェフはラケットを激しく叩き壊す行為に及び、結果的に大会主催側から計4万2500ドル(約625万円)もの罰金処分を科された。
その後は元選手や専門家から多くの批判を浴びたメドベージェフ。しかし彼を精神的に支えてきたドーゼ氏は一連の騒動について「ダニールに深い悪意があるわけではなく、あれは瞬間的に噴出した感情だった」と前置きし、「状況全体を見て評価すべき」と自身の見解を主張する。
同氏は海外メディア『Tennis Majors』に対し、メドベージェフの非紳士的な行為は「観客の反応や主審の裁定、さらには試合中に蓄積する緊張が絡み合った」結果として生み出されたものだと発言。その後のメディアの報道については主審への暴言や試合中断、ラケット破壊など「多くの出来事が一緒くたにされてしまっているような印象を受ける」と指摘した。
その上でドーゼ氏は「観客も憤りを見せていた一方、その場の高揚を楽しんでもいた」とコメント。ブーイングなどの過剰な反応が選手の心理を一層揺さぶる要因になったとし、「審判がもっと強く介入していればあのような事態には発展しなかったかもしれない」と続けた。一方で今回のケースは「やはり複数の要素が絡んでいる」と改めて語り、メドベージェフに対する批判についてはこう言及した。
「人々は匿名性を利用し、“ダニールはこうだ、ああだ”と言いたい放題だった。実際には彼のことをほとんど知らないのに、目に見える一つの出来事だけで判断しているわけだ。私が言いたいのは、彼を一方的に擁護することではなく、知らない相手について公の場で軽々しく語ることにはもっと慎重になるように、ということだ」
ドーゼ氏の発言は、物議を醸したメドベージェフの行動に新たな視点を与えるものとなった。コート上の出来事をどう評価するかは容易ではないが、批判と同時に理解を試みる姿勢こそが、選手と競技を取り巻く環境をより健全にするのかもしれない。
文●中村光佑
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