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「スケジュールは本当にタイトだ」上海大会欠場のアルカラスが過密日程を批判するシフィオンテクに賛同!<SMASH>

スマッシュ編集部

2025.10.03

1年を通してほぼ休みなく開催されているテニスツアーの過密日程にはアルカラスをはじめ多くの選手が苦言を呈している。果たして今後改善されていくのだろうか(写真はジャパンオープン)。写真:滝川敏之

 男子テニス界を牽引するカルロス・アルカラス(スペイン/世界ランキング1位)が、過密化するツアースケジュールについて改めて危機感を示した。

 これは初優勝した「ジャパンオープン」(9月24日~30日/東京・有明)の期間中に語ったもので、同じく日程問題を批判していたイガ・シフィオンテク(ポーランド/同2位)の意見に全面的に賛同している。

 今季すでに74試合をこなし、8タイトルを獲得しているアルカラス。有明での戦いを終えたが、10月以降に上海やパリのATP1000大会、さらにATPファイナルズが控えており、年間試合数は90を超える可能性がある。「スケジュールは本当にタイトだ。ATP(男子プロテニス協会)は日程について何かをしなければならない」と、負担の大きさを痛感している。

 22歳の世界王者は、出場を義務づけられた大会の欠場も視野に入れていることを明かした。

「正直に言うと、フィジカルコンディションと良い状態を維持するために、いくつかの義務大会をスキップする必要があるかもしれない。もちろん肉体面だけではなく、精神的にも本当に負担が大きい。多くの義務大会を連続で戦ったり、休む日がなく大会を転戦するのは大変だ。自分のメンタルにとっても利益になるように、義務大会を飛ばすことを考える。イガ(シフィオンテク)に同意するし、多くの選手がそうするようになると思う」

 そして実際、アルカラスは「上海マスターズ」(10月1日~12日/中国・上海)の欠場を9月30日に自身のSNSで発表している。

 この「イガへの同意」が意味するのは、「中国オープン」(9月24日~10月5日/中国・北京)でのシフィオンテクの発言だ。3回戦を相手の棄権により突破した後の会見でこう訴えていた。
 
「シーズン後半はみんな疲れている。特にアジアツアーは、1年の終わりが近付いている中でまだ全力を尽くさないといけないこともあって、最も過酷だと思う。数年後の自分がどうしているかはわからないけど、出場義務のある大会でもいくつかは辞退する必要が出てくるかもしれない。WTA(女子テニス協会)は義務的なルールを作りすぎて、スケジュールをめちゃくちゃにしてしまっている」

 この日の「中国オープン」では、男女合わせて5選手が棄権する事態も発生。シフィオンテクは選手の健康を軽視した現行制度に強い危機感を示し、「そもそもトップ選手であってもこれだけの過密日程を完璧にこなせる人はいない」と警鐘を鳴らしていた。

 なお、男子ツアーでは上位選手にATP1000の8大会(モンテカルロを除く)とATP500の4大会の出場義務があり、女子ツアーでも同様にWTA1000の10大会とWTA500の6大会に出場義務が設けられている。さらに近年はATP&WTA1000の多くで開催期間が従来の1週間から2週間に拡張されており、選手の負担は増すばかりだ。

 男女のトップ選手が口を揃えて改善を求めたことで、テニス界の過密日程問題は一層無視できない課題となった。ATPとWTAは選手の健康とツアーの持続性をどう両立させていくのだろうか。

構成●スマッシュ編集部

【画像】初優勝したアルカラスほか、ジャパンオープンの単複各決勝戦に臨んだ選手たち

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