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海外テニス

プロデビュー戦の園部八奏を跳ね返した大坂なおみの老練さ。「隣で練習している彼女を見た」だけで立てた作戦がハマる<SMASH>

内田暁

2025.10.14

10歳年下の新鋭の挑戦を老練な戦術で退けた大坂なおみ。情報が少ない中でも対策に抜かりはなかった(写真は先週の大会)。(C)Getty Images

10歳年下の新鋭の挑戦を老練な戦術で退けた大坂なおみ。情報が少ない中でも対策に抜かりはなかった(写真は先週の大会)。(C)Getty Images

 木下グループジャパンオープンテニス女子、本戦開幕前日の、日曜日――。

 ファンも見守る中で行なわれた、シングルス本戦ドローの公開抽選会場が、早々に歓声に包まれた。大会第1シードとして、ドロー表の一番上に光る文字は、Naomi Osaka(大坂なおみ)。元世界1位にして、4度のグランドスラムタイトル保持者であり、先の全米オープンベスト4進出者でもある。

 その大坂の名の真下......即ち、初戦の対戦相手に飛び込んだ名は、園部八奏。10月8日にプロ転向したばかりの17歳は、このドローミーティングの立ち合い人も務めていた。そんな注目の新星は、目の前で、自身の“プロデビュー戦”の相手を知ったのだった。

「自分は“持っている”のかな」

 対戦カードが決まった時、園部は、そう思ったという。「肝が据わっている」と自己分析するほどに、日頃は緊張や硬さとは無縁のタイプでもある。
 
 その彼女が月曜日の試合コートに足を踏み入れた時、「すごく緊張していた」と言った。足が、思うように動いてくれない。するとボールへの入りが遅れ、どうしても振り遅れる。本来は、ダイナミックなスイングから放たれる彼女の強打が、ことごとくネットを叩いた。

 第1セットは、6-0で大坂の手に。緊張の克服も含め実力と言えばそれまでだが、園部が本来の力を出し切れていないのは明らかだった。

 もっとも大坂にしても、スコアほどには、コート上で心地よさを感じてはいなかったという。相手のプレースタイルがわからない中で、手探り状態でのプレー。硬さの見える相手が、どこかで緊張の枷が外れ反撃してくることも、念頭に入れながらの進行でもあっただろう。

 果たして第2セットに入ると、試合の空気は大きく変わった。園部が第1ゲームで初のサービスキープに成功すると、ようやく硬さもほぐれ、足が動き始める。サービスで崩すと左腕を振り抜き、迷わずオープンコートへと強打を叩き込んだ。

 第3ゲームでブレークされるが、直後のゲームでブレークバック。「フォアでウイナーを決める快感」に魅せられたという園部が、その魅力を、プロデビュー戦のコートで体現し始めた。
 
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