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海外テニス

錦織圭が全米OP予選で再発見したテニスの楽しさ!待ち受けるのは“後継者”坂本怜との運命の一戦<SMASH>

内田暁

2026.08.27

今季限りで現役を引退する錦織圭が楽しみながらキャリア最後となる四大大会「全米オープン」の予選を戦っている。(C)getty Images

今季限りで現役を引退する錦織圭が楽しみながらキャリア最後となる四大大会「全米オープン」の予選を戦っている。(C)getty Images

 対戦相手と健闘を称える握手を交わすと、コートの中央に歩み出て、客席に向かい激しく拳を突き上げた。

「気持ちよくやれましたね」

 試合後に彼は、つとめて冷静にその時のことを振り返る。テニスの四大大会の「全米オープン」。その予選2回戦で、錦織圭が地元アメリカの16歳、マイケル・アントニウスに6-4、6-4で勝利。試合時間は1時間16分。プレー内容的にも、そして本人の表情的にも、恐らくはスコアを上回る快勝だ。

 錦織が好調かつ自信を持ってボールを打っていることは、試合開始1本目のラリーから明らかだった。ボールがラケットに吸い付き、時間と空間に溜めが生じ、次の瞬間には弾かれたように美しい弧を描き、ボールがライン際を鋭く抉る。錦織が身体を捻りラケットを構えたら、相手はボールがどちらに来るか、予測すらできなかっただろう。

 フォアのウイナーを連発し、最初のゲームを錦織がブレークしてスタート。続くゲームは、サービスからの早い展開でラブゲームキープ。第3ゲームも、フォアのクロス、さらに逆クロスのウイナー連発でまたもブレーク。

「オー・ケイ! オー・ケイ!」

 地元のテニスファンたちも、錦織に感嘆のエールを送る。ゲームカウント5-1から3ゲームを返されたが、錦織はさほど危機感を覚えてはいなかっただろう。最後も、この日絶好調のフォアの逆クロスを叩きこんで、第1セットを奪取した。
 
 16歳のアントニウスとの対戦が決まった時、錦織には「ちょっとやりにくい」との思いがあったという。今年4月のATPチャレンジャー大会で、当時17歳のジャック・ケネディ(アメリカ)に敗れた記憶もまだ生々しい。ただ、少ないながらもコーチ陣から相手の情報を得るうちに、良いイメージを抱けていたという。

「サービスのスピードもそれほどではなく、どちらかというとディフェンスの方がうまい選手」

 それが、錦織の中でおぼろげに結ばれたアントニウスのイメージだった。ラリー戦がしっかりできる相手なら、なんとでもなるとの精神的余裕も生まれたのだろう。

 実際にコートで対峙し受けた印象も、戦前のそれと大差はない。

「最初の方は球も浅かったり。ボールもやっぱり今のトップ100選手と比べると、そんなにスピードもなかったので」

 球威で押し切られることさえなければ、錦織ならではの遊び心や創造性が、コートいっぱいに描かれる。会見の席で、「今日は試合を楽しめたか」と問われた錦織は、少しやんちゃな笑みを浮かべて、こう言った。
 
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