専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
海外テニス

消えゆく「片手バックハンド」の伝統、レジェンド・フェデラーが明かす減少の背景と未来<SMASH>

中村光佑

2026.08.28

華麗な片手バックハンドを武器にしていた名手フェデラーが両手打ちが主流となった理由や今後の展開について語った。(C)getty Images

華麗な片手バックハンドを武器にしていた名手フェデラーが両手打ちが主流となった理由や今後の展開について語った。(C)getty Images

 間もなく開幕する今季最後のテニス四大大会「全米オープン」(8月30日~9月12日/アメリカ・ニューヨーク/ハードコート)のレジェンドエキジビションマッチに参加した男子テニス元世界ランキング1位のロジャー・フェデラー氏(スイス/45歳)が記者会見に出席。自身の代名詞でもあった片手バックハンドの使い手が減少している現状について、その要因を考察した。

 フェデラー氏やスタン・ワウリンカ(スイス/元3位/現125位)、ドミニク・ティーム(オーストリア/元3位/引退)ら数々の名手を生み出してきた片手バックハンド。しかし近年は両手バックハンドが圧倒的な主流となっており、2024年2月にはATPランキングが創設された1973年以来初めて、トップ10から片手バックの選手が姿を消した。

 それから約2年半が経過した現在も、その使い手は少ない。8月24日付の最新ATPランキングではトップ30で14位のロレンツォ・ムゼッティ(イタリア)ただ1人。トップ50でも47位のデニス・シャポバロフ(カナダ)が加わるのみで、トップ100まで広げてもわずか5人にとどまっている。

 こうした現状について問われたフェデラー氏は、「もし自分のコーチが片手打ちの選手だったのなら、おそらく自分も片手打ちになるだろう」とした上で、「問題は、今ではほとんどのコーチが現役時代に両手打ちだったということだ。そして何より、子どもに教える場合は、両手バックハンドの方がはるかに簡単になる」と指摘した。
 
 また片手バックは「技術的な変更を加えようとすると、ものすごく時間がかかるし、フラストレーションもたまる」と説明。

 さらに減少の背景としてラケットやストリング(ラケットに張る糸)、ボール、サーフェス(コートの種類)の変化などを挙げ、特に両足を開いた状態で打つオープンスタンスや、走らされた状態での守備では両手バックに利点があるとの見解を示した。

 それでもテニスに打ち込んでいる自身の子どもの1人は、現在両手打ちから片手打ちへの変更に取り組んでいるという。

 様々な要因が重なり、今や希少な存在となった片手バックハンド。それでも「今の流れがその終焉につながらないことを願っている」と、フェデラー氏は自身の代名詞への思いを馳せる。現役時代に唯一無二の芸術的な片手打ちで一時代を築いた“生ける伝説”も、伝統の美技が次世代へ受け継がれることを望んでいるようだ。

文●中村光佑

【画像】シャポバロフの華麗な片手バックハンドを、ハイスピードカメラによる『超分解写真』で見てみよう!

【関連記事】「片手打ちバックハンド」は絶滅危惧種なのか?男子テニス世代交代の波とともにプレースタイルも転換期に<SMASH>

【関連記事】約50年の記録に終止符。チチパスのトップ10陥落により片手バックハンドの選手が10位以内から消滅<SMASH>
 
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号

  • soccer_digest

    10月9日(金)発売

    定価:800円 (税込)
  • world_soccer_digest

    10月15日(木)発売

    定価:890円 (税込)
  • smash

    10月22日(木)発売

    定価:800円 (税込)
  • dunkshot

    10月16日(金)発売

    定価:1650円 (税込)
  • slugger

    9月26日(土)発売

    定価:1100円 (税込)