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海外テニス

「小さくても強くなれる!」身長170センチで世界11位を叩き出したシュワルツマンの信じ続ける力【男子テニス】

内田暁

2020.04.19

小柄ながらもツアーで結果を出し続けるシュワルツマン。現在世界13位の27歳は自身を旧約聖書に登場する巨人を倒した少年「ダビデ」に例える。(C)GettyImages

小柄ながらもツアーで結果を出し続けるシュワルツマン。現在世界13位の27歳は自身を旧約聖書に登場する巨人を倒した少年「ダビデ」に例える。(C)GettyImages

「僕は子どもの頃から常に他の選手より小さく、それでも勝てていた。だから、不利だと考えることは特になかったですね。別の武器を磨くことで、他の選手より強くなろうとしていました」

 3年前の、マイアミ・オープン大会中のことだった。10分ほどの時間をもらった1対1のインタビューで、彼に「背の低さを不利と感じたことは?」と尋ねた時に、返ってきた答えである。

 彼にとってこの手の質問は、既に聞き飽きたものだっただろう。限られた時間の中では、真意を正確に伝えるのは(しかもお互いの母国語ではない言語の会話では)難しいと思ったかもしれない。あるいはこの時は、これが彼の中の真実だった可能性もある。

 いずれにしてもディエゴ・シュワルツマン(アルゼンチン)は、「身体が小さいことを意識したことは、ほとんどありません」と明言した。
 
 彼が2017年の全米オープン、そして18年の全仏オープンでもベスト8入りし11位に達したのは、マイアミから1年3カ月後のことである。その全仏での会見では、「子どもの頃は多くのコーチから『君の身長では、テニス選手として大成するのは難しい』と言われた」という過去を明かしていた。
 
 それら周囲の先入観を拒絶し、テニスプレーヤーとしてファンや仲間の選手からの敬意も獲得した彼は、全仏4回戦では203センチのケビン・アンダーソンをフルセットの死闘の末に破る。試合後の会見に現れた時、彼は自身を、旧約聖書に登場する巨人を倒した少年に重ね、「僕をダビデって呼んでくれていいよ」と笑った。
 
 インタビューをした2017年当時、まだトップ50入りしたばかりのシュワルツマンは、自身に「身長は関係ない」と言い聞かせていた時分だったのかもしれない。

「僕の一番の武器は、ムーブメント。そしてリターン。僕はサービスでフリーポイントを取れないので、リターンが鍵になりますから。あとは、対戦相手よりも多く走ることをいつも覚悟しています。気持ちを切らさず、心を落ち着けてプレーすること。メンタルを強化することも大切です」

 当時そう語っていた彼は、2018年の全仏では相手のセカンドサービスで68%のリターンポイント獲得率を記録。さらには、グランドスラムで勝てるようになった秘訣を、「心の持ちようを変えた。自分は5セットマッチが得意だ、5セットは僕に有利だと考えるようにした」とも言った。

 体格を言い訳にせず自らの武器を磨いてきた彼は、「子どもの頃は、身長以上に深刻な立ち向かうべき問題があった」とも後に語っている。
 
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