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海外テニス

「小さくても強くなれる!」身長170センチで世界11位を叩き出したシュワルツマンの信じ続ける力【男子テニス】

内田暁

2020.04.19

ともに身長170センチのシュワルツマンと西岡は、2019年シーズンに3度対戦。お互いの能力を認め合う仲でもある。(C)GettyImages

ともに身長170センチのシュワルツマンと西岡は、2019年シーズンに3度対戦。お互いの能力を認め合う仲でもある。(C)GettyImages

 シュワルツマンの両親は、かつては装飾品や衣装を扱う会社を経営しており、成功を収めていた。だが90年代に入り、アルゼンチン政府が輸入規制を設けたのを機に経営は悪化。その苦境下でも、家族の支えでなんとかテニスを続けてきたディエゴ少年は、遠征先でゴム製のブレスレットを売るなどして、宿泊費を捻出していたという。

 数々の逆境と戦ってきた少年時代の経験を、今の彼は「精神的にタフにし、勝負強さを磨いてくれた」と肯定的に捉えている。

「身体が小さくても強くなれるというメッセージを、多くの子どもたちに届けたい」と願うシュワルツマンの躍進は、彼とほぼ同じ体格である西岡良仁にも、勇気を与えたのは間違いない。

 その西岡についてシュワルツマンに尋ねた時、「彼(西岡)はとても良いプレーをしているし、僕よりも若い。動きがすごく速くて、レフティという利点もある。きっともっと上に……トップ50やトップ30にだってなれるポテンシャルがあると思います」との答えが返ってきた。
 
 それから約2年後の2019年、シドニー国際・準々決勝で、両選手は初対戦。フルセットの善戦を演じるも競り負けた西岡は、「フォアの高い打点でも強くボールを叩けるなど、シュワルツマン選手は、自分には無い武器を持っていた」と彼我の戦力差を分析。同時にシュワルツマンが持つそれらの武器は、自分も体得しえるものだと、西岡は信じることができたという。

 今の西岡は3年前のシュワルツマンが予見した通り、50位の壁も突破しキャリアハイの48位に到達している。

 ちなみに、西岡とシュワルツマンは3歳違い。2017年にインタビューをした当時のシュワルツマンは今の西岡と同じ歳です。

 両者は、極めて似た道をたどっている。

文●内田暁

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