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海外テニス

【レジェンドの素顔3】不振の要因は女性か。マッケンローとテータムの相性は?|後編〈SMASH〉

立原修造

2021.01.27

1985年のマッケンローの不振はテータムとの共同生活が原因であるとの風評がまことしやかに立つようになった。写真:THE DIGEST写真部

1985年のマッケンローの不振はテータムとの共同生活が原因であるとの風評がまことしやかに立つようになった。写真:THE DIGEST写真部

 大一番におけるレジェンドたちの大胆さや小心をのぞいていくシリーズ「レジェンドの素顔」。

 1985年のフレンチ・オープンから突然調子を崩したマッケンロー。その原因は彼を取り巻く女性にあるのだろうか。大学時代に付き合っていた幼馴染のステーシーとは別れ、次の相手は?

  ◆  ◆  ◆

 ステラと知り合ったのは、ステーシーと別れた後。共通の友達であるピーター・レナートの紹介で2人は出会った。

 ステラはニューヨークのファッション・モデルでマッケンローより2つ年上。この年上ということが、周囲からは好意的に見られた。つまり、マッケンローのようなわがままな男には、年上の女性の方が甘えさせてくれて、お似合いだろうというわけだ。

 マッケンローと知り合う以前、ステラはテニスの試合をほとんど見たことがなかった。もちろん、マッケンローがどんなに偉大なプレーヤーなのかも知らなかった。このこともマッケンローがステラを気に入る大きな原因となった。これまで、有名プレーヤーというだけで寄ってくる女性がいかに多かったか。マッケンローはそうした取り巻き連中にウンザリしているところだった。

「ジョンはとてもすばらしい人よ」と、ステラが公言していたにもかかわらず、こちらも長くは続かなかった。

 テニスプレーヤーのように、自分だけが頼りの勝負の世界に生きていると、どうしても"我"が出る。どこへ行っても、"お山の大将"でなくては気がすまなくなる。もし、5歳も6歳も上なら、うまくマッケンローを御していたかもしれないが、2歳年上のステラには荷が重かったようだ。結局、マッケンローをもてあまして、自ら離れていった。
 
 そして、テータム・オニール。

 2人はコロンビア映画のレセプション・パーティで知り合った。慣れない場所に出て寂しげにしていたマッケンローに、テータムの方から声をかけたそうだ。60年代のB級青春映画のような出逢いのシーンがそこには展開された。

 こうして、2人はニューヨークで共同生活を始めるようになった。それから半年ほどしてから、マッケンローは絶不調に陥り、長い休養へと続いていく。テータムもつらいところだろう。彼女を責める声がマッケンローのファンから起こっているのだから。同僚、両親の反対、出産。いろいろなことがありすぎた。

 しかし、現実的にいって、マッケンロー不振の原因は、過密スケジュールによる肉体の度重なる故障によるものであって、テータムとは関係のない次元のものだ。あれほどの修羅場をくぐり抜けて実績をつくり上げてきた男が、たかが一人の女性に振りまわされて自分を見失うわけがない。たとえ女性に対しては見た目以上に “純情”だとしてもだ。
 

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