今大会が始まった時、この決勝の顔合わせを予想できた人は、恐らくは皆無だっただろう。ランキングで上位に立つのは、19歳で73位のレイラ・フェルナンデス。対するのは、18歳で150位のエマ・ラドゥカヌ。いずれも、"ニューカマー"から一気に頂上決戦の舞台まで駆け上がった、シンデレラストーリーのヒロインだ。
昨今の女子テニスでは小柄な部類に入る両者だが、細身な身体からは想像できない鋭いショットと、バンビのようにコートを縦横に掛ける軽快なフットワークを武器とする。相手が打った先にいる高い予測力と、ポイントを巧妙に組み立てる"テニスIQ"の高さも、両者に見られる特性だ。
さらにこの2人には、歩んできた足跡や文化的背景にも、多くの共通項がある。
カナダ国籍のフェルナンデスは、エクアドルからの移民の父と、フィリピン系のカナダ人を母に持つ。元プロサッカー選手だった父の手ほどきで、妹のビアンカとともにテニスに打ち込んできた。
幼少期から小柄だったためでもあるだろう。周囲は、世界のトッププロになるという彼女の夢を、時に鼻で笑ったという。ただそのたびに、「絶対に私はトップ選手になる」と懐疑の声をモチベーションに変え、家族もその夢に懸けた。
現在はフロリダに住むフェルナンデス家の父は、「カナダ人として娘が成功を収めたことをどう思う?」と問われると、「とてつもなく大きな意味を持つ」と言ったきり、しばし涙に言葉をさえぎられた。
「移民問題は世界中で物議をかもしているのは知っているし、理解もできる。その中で、カナダは我々を受け入れチャンスをくれた」。この言葉と涙の背後にあるものを、本人は語りはしなかった。ただ、多くの苦労があったことは想像に難くない。
幼い頃からグランドスラム優勝を夢見てきたフェルナンデスは、「セレナとビーナス(ウィリアムズ)、大坂なおみがトロフィーを手にする姿に、自分を重ねてきた」という。その大坂を3回戦で破った時、フェルナンデスは、「彼女の活躍をずっと追ってきた。だから自然と彼女のプレーが予測できて、それが私のアドバンテージになったと思う」と笑顔で明かした。
そのフェルナンデスとジュニア時代に対戦を重ねたラドゥカヌは、ルーマニア人の父と、中国系の母親の間にカナダで生まれた。イギリスに移ったのは2歳の時。国際色豊かなバックグラウンドを持つ18歳は、「母親が中国人であることは、私のまじめな人格形成に大きく影響したと思う」と言う。その縁もあるだろう、彼女が幼いころに憧れた選手は、中国のリー・ナ。
昨今の女子テニスでは小柄な部類に入る両者だが、細身な身体からは想像できない鋭いショットと、バンビのようにコートを縦横に掛ける軽快なフットワークを武器とする。相手が打った先にいる高い予測力と、ポイントを巧妙に組み立てる"テニスIQ"の高さも、両者に見られる特性だ。
さらにこの2人には、歩んできた足跡や文化的背景にも、多くの共通項がある。
カナダ国籍のフェルナンデスは、エクアドルからの移民の父と、フィリピン系のカナダ人を母に持つ。元プロサッカー選手だった父の手ほどきで、妹のビアンカとともにテニスに打ち込んできた。
幼少期から小柄だったためでもあるだろう。周囲は、世界のトッププロになるという彼女の夢を、時に鼻で笑ったという。ただそのたびに、「絶対に私はトップ選手になる」と懐疑の声をモチベーションに変え、家族もその夢に懸けた。
現在はフロリダに住むフェルナンデス家の父は、「カナダ人として娘が成功を収めたことをどう思う?」と問われると、「とてつもなく大きな意味を持つ」と言ったきり、しばし涙に言葉をさえぎられた。
「移民問題は世界中で物議をかもしているのは知っているし、理解もできる。その中で、カナダは我々を受け入れチャンスをくれた」。この言葉と涙の背後にあるものを、本人は語りはしなかった。ただ、多くの苦労があったことは想像に難くない。
幼い頃からグランドスラム優勝を夢見てきたフェルナンデスは、「セレナとビーナス(ウィリアムズ)、大坂なおみがトロフィーを手にする姿に、自分を重ねてきた」という。その大坂を3回戦で破った時、フェルナンデスは、「彼女の活躍をずっと追ってきた。だから自然と彼女のプレーが予測できて、それが私のアドバンテージになったと思う」と笑顔で明かした。
そのフェルナンデスとジュニア時代に対戦を重ねたラドゥカヌは、ルーマニア人の父と、中国系の母親の間にカナダで生まれた。イギリスに移ったのは2歳の時。国際色豊かなバックグラウンドを持つ18歳は、「母親が中国人であることは、私のまじめな人格形成に大きく影響したと思う」と言う。その縁もあるだろう、彼女が幼いころに憧れた選手は、中国のリー・ナ。