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海外テニス

一時離脱中の大坂なおみの今後はどうなる?実は珍しくない、過去にテニス界を一時期離れた天才少女たち<SMASH>

内田暁

2021.10.12

今年の全米オープン敗退後、ツアーから離れる宣言をした大坂なおみ。(C)Getty Images

今年の全米オープン敗退後、ツアーから離れる宣言をした大坂なおみ。(C)Getty Images

「本日は“世界メンタルヘルスデー”なので、私が得た3回戦の賞金を、メンタルヘルスをサポートする非営利団体に寄付します」

 BNPパリバオープン3回戦後の会見で、イガ・シフィオンテクは、いくぶん緊張した面持ちで宣言した。

「こういうことは慣れてないので、緊張しちゃって」と照れ臭そうに打ち明ける昨年の全仏オープン優勝者は、若くして精神面の強化や安定の重要性を理解し、スポーツ心理学者をチームスタッフに加えたことでも知られている。そのシフィオンテクが、「メンタルヘルスへの理解や正しい知識を普及する」ために定められた日に、自ら行動を起こしその重要性を喚起した。

 テニスの世界で「メンタルヘルス」の言葉が注目され始めたのは、今年5月。大坂なおみが、全仏オープンで会見を拒否し、「アスリートのメンタルヘルスへの配慮が足りない」と訴えた時だった。その数日後には、自身が引き起こした騒動を鎮静化させるための「最良の策」として、大会からの棄権を表明。その際に、2018年の全米オープン優勝の後、うつ状態に陥ったことも明かしている。
 
 以降、複数の選手が様々な形で、「心の健康」にまつわる自身の経験を明かしたり、問題提起を行なってきた。

 ビーナス・ウィリアムズはこの夏、WTAおよびNPOと提携し、助けを必要としている人々へのセラピー代として200万ドルを提供する基金を立ち上げる。今回、シフィオンテクが賞金の寄付を思いついたのも、尊敬するビーナスのアクションに触発されたからだと言った。

 今夏の全米オープン2回戦で敗れた後、大坂は会見で涙を流し、「次の公式戦がいつになるかわからない。しばらく、テニスから離れようと思っている」と言葉を絞り出した。実際に、現在開催中のBNPパリバオープンも欠場し、今季はこのままコートに戻らぬ可能性が高い。

 当時世界2位の23歳が取った行動は、大きな衝撃として世界に報じられた。ただ女子テニス界の歴史を振り返れば、これは何も大坂のみに起きた特異なことでもない。
 
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