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“高さ”で相手を押し込む江原弘泰のフォアハンドトップスピン。カギは下半身とリストワーク【プロが明かすテニス上達法】<SMASH>

スマッシュ編集部

2022.01.02

右足をしっかり決めてボディターンを行なうことと、スピーディーに手首を回すことが、江原選手が重いトップスピンを打つために意識しているポイントだ。写真:THE DIGEST写真部

 プロテニス選手は、高度なショットをいとも簡単にたたき込む。なぜあんなボールが打てるのか? その秘訣をプロ本人に明かしてもらうシリーズ。今回は全日本選手権で2014年に優勝、17年に準優勝している江原弘泰選手が、得意とするフォアハンドトップスピンのポイントを教えてくれた。

「フォアハンドは昔から一番の武器です」と言い切る江原選手。彼の場合はスピードよりもスピン系のボールを持ち球にしている。「僕はしっかりトップスピンをかけるタイプで、深さもそうですが、『高さ』を結構大事にしています」とのこと。

「高い所を通せば、より高くバウンドさせられます。ネット上のどのくらいの高さを狙うかで、深さを調整するような感じです」

 トップスピンというと、深く打とうと意識するのが一般的。しかし深さを出すには高く打つことが必要だ。江原選手は弾道の高さを狙い方の目安として、深さをコントロールしているわけだ。

「そうやって高く跳ねさせて、相手を後ろに下げ、甘いボールが来たらたたくのが僕のパターンです。高いスピンを何球でも打ち続けることができれば、自分の足を生かしてストローク戦を優位に持っていけます」と、自身のポイントプランを説明してくれた。
 
 では、ボールを高く弾ませるために、技術的にスイングで意識しているのはどんなことだろうか?

「まず全身を使うことです。具体的には、しっかりと右足をボールの後ろにセットして、地面をつかむようなイメージで構えます。その体勢で身体をひねって戻すと、パワーが足から徐々に上に伝わって、全身を使ったスイングができるんです」

 まずはパワーを出す源として、土台となる下半身とボディターンが重要ということだが、それだけではない。

「もう1つ意識しているのはリストワークです。ラケットヘッドを一度落として、そこから一気に上に振り上げる時に、しっかりと手首を回すこと。そのスピードが速いほど、回転量が多くなって重いスピンが打てます」

 下半身だけでも、手先だけでもない。その両方が連動して、初めて強力なトップスピンが生まれる。いわゆる『運動連鎖』が、江原選手のフォアハンドのカギと言えるだろう。

構成●スマッシュ編集部
※『スマッシュ』2020年9月号より再編集

【PHOTO】江原弘泰の高く跳ねるフォアハンドトップスピン、ハイスピードカメラによる『30コマの超分解写真』