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テニス界にトップスピン旋風を巻き起こしたビヨン・ボルグ。これがその両手バックだ!【レジェンドFILE2】

スマッシュ編集部

2019.11.16

テニス界に変革をもたらしたボルグのトップスピン打法。写真:スマッシュ写真部

 1974年、北欧出身の金髪でハンサムなテニス選手がウインブルドンを制した時、テニス界は劇的に変わった。それまでのテニスは紳士淑女のスポーツとされていたが、ビヨン・ボルグの登場により、テニス界にアイドルが誕生したのだ。テニス選手の「追っかけ」が生まれたのもボルグ以降のことだ。

 また、1976年からのウインブルドン5連覇。その最後の年、1980年のマッケンローとのファイナルセットにもつれ込む死闘。さらに81年のマッケンローによるリベンジ物語は、テニス界の伝説となっている。

 ボルグの出現によって、テニスのスタイルにも大変革がもたらされた。フラット主体の時代が終焉し、トップスピン時代が到来した。
 
 とりわけ彼の両手打ちバックハンドでのトップスピンは、それまでの常識を根底から覆した。ヒジや手首を固めて打つのが基本だった時代に、手首を積極的に使ってラケットヘッドを跳ね上げ(連続写真5~6コマ目)、ボールに強烈な順回転をかけたのだ。
 ネット上の高い所を通過したボールは、急激に落下し、高く跳ね上がる。ボルグは自らのテニスのモットーを「より安全に、より確実に、我慢を重ねて勝つ」と述べたが、まさにそれを象徴する打法だった。

【プロフィール】ビヨン・ボルグ/Bjorn Borg (SWE)
1956年生まれ。ATPランキング最高位1位(77年8月)。グランドスラム通算11勝(RG:74・75・78~81年、WIM:76~80年)。ウインブルドン5連覇はフェデラーと並び、トーナメント方式になってからの最多記録。重いトップスピン主体のグラウンドストロークが武器。当時のウッドラケットにストリングを80ポンド以上という素材強度ぎりぎりの硬さで張っていた。紳士的な試合態度でも知られ、今も彼を崇拝する選手は多い。常に冷静沈着なことから「アイスマン(氷の男)」と呼ばれた。

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編集協力●井山夏生 構成●スマッシュ編集部