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最終戦Vのジョコビッチをコーチのイバニセビッチ氏が称賛「これからもより良くなっていくだろう」<SMASH>

中村光佑

2022.11.22

2019年からタッグを組んでいるジョコビッチ(左)とイバニセビッチ氏(右)。(C)Getty Images

 先週の男子テニスシーズン最終戦「Nitto ATP ファイナルズ」(イタリア・トリノ/ハードコート)で、2015年大会以来、7年ぶりとなる優勝を飾った元世界王者のノバク・ジョコビッチ(セルビア/大会時世界ランク8位)。そのコーチを務めるゴラン・イバニセビッチ氏が、シングルス決勝戦後に行なわれたATP(男子プロテニス協会)のインタビューに応じ、最高の形でシーズンを締めくくった35歳の鉄人を手放しに称賛した。

 年間獲得ポイントで上位8名のみが出場できるシーズン最終戦。4名ずつに分かれて行なわれたラウンドロビン(グループリーグ)で3連勝を飾って決勝ラウンドへ進出したジョコビッチは、現地11月19日の準決勝で第8シードのテイラー・フリッツ(アメリカ/大会時9位/現9位)をストレートで下して決勝へと進出した。

 そして、現地11月20日に実施された決勝では、過去3勝0敗と負けなしのキャスパー・ルード(ノルウェー/大会時4位/現3位)を相手に圧巻のプレーを披露し、7-5、6-3で勝利。今年9月に現役を引退した元世界王者のロジャー・フェデラー(スイス)に並ぶ最多タイ6度目のファイナルズ優勝を手にした。

 ここ最近は、数々の有望な若手プレーヤーが台頭しているなか、イバニセビッチ氏は19年から自身に師事するジョコビッチが35歳にして未だに抜群の安定感と強さを誇る秘訣をこう語る。

「彼は、若い時よりもさらにハードなトレーニングをしている。だからこそ彼は、まだ優秀な選手だし、これからもより良くなっていくだろう。練習への意欲、より良くなろうとする意志は素晴らしい。そして彼は自分の体も大切にしている」
 
 その一方で、イバニセビッチ氏はジョコビッチが長きにわたって安定した成績を残せている理由について「サービスの進化も関係している」と分析。

 かつては、むしろサービスが弱点だと言われていた時期もあったにもかかわらず、同氏は「人々はサービス以外のショットについてあまりに多くのことを話すが、みんな彼が最高のサービスを打つ選手の一人であることを忘れている。

 彼のサービスはキャリアの中でずっと過小評価されてきたショットだ。5年前や10年前の多くの試合を見ると、彼のサーブがいつも彼を助けていた。でも今はより良くなっている。今週のファイナルズでもプレッシャーのかかる場面で信じられないようなサービスを放っていた」と評価する。

 そのうえで、イバニセビッチ氏は「私が現役だったころは、30歳や31歳でテニスをやめていた。だが彼は私がもう辞めようと思っていた年齢になっているのに、信じられないくらいの強さを見せている」と改めてジョコビッチのレベルの高さを称賛。

「ノバクを見てほしい。彼はまだハングリーだ。まだトーナメントに勝ち続け、信じられないようなテニスをしている。そして今、次のシーズンの準備をどうするか考えているんだ。彼は常に戦う力があり、大きな大会での優勝候補であり続けるだろうね」と締めくくった。

 なお、全勝でのファイナルズ優勝を成し遂げたジョコビッチは、現地11月21日に更新された世界ランキングで5位に浮上。現時点では新シーズン開幕に向け、12月19日から24日までドバイで開催されるエキシビションマッチ「ワールド・テニス・リーグ」(ハードコート)に出場する予定だ。

文●中村光佑

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