海外テニス

世界1位シフィオンテクが昨年の全英女王に敗退。全豪ベスト8を逃す「少し強く結果を望みすぎたのかもしれない」<SMASH>

中村光佑

2023.01.23

「今日の彼女は、私よりも良いプレーをした」と会見でルバキナを称えたシフィオンテク。(C)Getty Images

 現在開催中のテニス四大大会「全豪オープン」は現地1月22日に女子シングルス4回戦が行なわれ、世界ランキング1位のイガ・シフィオンテク(ポーランド)がセンターコート第1試合に登場。同25位で第22シードのエレーナ・ルバキナ(カザフスタン)に4-6、4-6で敗れ、ベスト8進出を逃した。

 昨シーズンだけで2度のグランドスラム優勝(全仏と全米)を飾り、2000年以降で女子テニス史上最多となる公式戦37連勝の新記録も打ち立てたシフィオンテク。今季初戦として出場した男女混合の国別対抗戦「ユナイテッドカップ」ではシングルスで3勝1敗と好成績を残し、今回の全豪でも3回戦まですべてストレート勝ちと順調に勝ち上がっていた。

 この日の4回戦では、昨年7月のウインブルドンで四大大会初優勝を成し遂げた23歳のルバキナと対戦。この試合はシフィオンテクが開始直後の第1ゲームでいきなりブレークを許す苦しい展開となる。第4ゲームでブレークバックに成功するも、第7ゲームで再びブレークを献上し、そのまま第1セットを落としてしまう。

 第2セットに入ってもルバキナの力強いショットに押される場面が目立ったシフィオンテクは第4ゲームから立て続けに3ゲームを失うと、迎えた第9ゲームでもサービスゲームをキープできず、1時間29分で力尽きた。
 
 試合後の記者会見で無念の敗戦を喫した21歳の世界女王は、「この2週間は私にとってかなりハードだった」と悔しさを滲ませながらコメント。「こういうトーナメントに臨む姿勢という点では、一歩後退したように感じる。少し強く結果を望みすぎたのかもしれない。だからもう少し冷静になろうと思う。それだけ」と言葉を絞り出した。

 また世界1位という肩書きを背負っていることから、「"勝ちたい"よりも"負けたくない"という気持ちが強くなり、プレッシャーを感じていた」という。ただ来月からは、昨年2月のカタール・オープンから6大会連続でのツアー優勝を成し遂げたことで獲得したランキングポイントの大量失効が待ち受けており、より大きな重圧を抱えながら戦っていかなければならない。

 それを踏まえてシフィオンテクは「今後2週間はプレッシャーに対処することが、私が集中しなければならないことのベースになる」と気持ちを立て直す心構えを見せた。

 そして最後には「正直言って、今日の彼女の方が良かったし、本当に堅実なプレーをしていた。戦術的にも、彼女は落ち着いていて、集中力を保つことができていたのだと思う。今日の彼女は、私よりも良いプレーをした」と勝者のリバキナを称えることも忘れなかった。

 女王の座に立つのは確かに名誉なことではあるが、一方で常に追われる立場になるというつらさもある。まだまだ若いシフィオンテクがそのプレッシャーをどう跳ねのけていくのか注目したい。

文●中村光佑

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【動画】シフィオンテクが無念の敗退を喫した全豪オープン4回戦、ルバキナのマッチポイント