男子テニスツアーのマスターズ1000大会「イタリア国際」(5月10日~21日/イタリア・ローマ/クレーコート)は大会最終日の現地5月21日にシングルス決勝を実施。第3シードのダニール・メドベージェフ(ロシア/世界ランク3位)が、第7シードのホルガー・ルネ(デンマーク/同7位)を7-5、7-5のストレートで下し、クレーコートのツアー大会で自身初となる優勝を飾った。
キャリアの初期からクレーコートを苦手とし、自身でも度々"クレー嫌い"を公言してきた27歳のメドベージェフ。それでも今回のイタリア国際では"クレー嫌い"が嘘であるかのような快進撃を見せてきた。
4回戦で元世界2位のアレクサンダー・ズべレフ(ドイツ/22位)をストレートで破ると、悪天候による約4時間の中断を挟んだ準決勝では昨年大会準優勝のステファノス・チチパス(ギリシャ/5位)に7-5、7-5で勝利。節目のツアー通算20勝目に王手をかけていた。
先月初旬のモンテカルロ大会(ATP1000)準々決勝でルネにストレートでの完敗を喫していたメドベージェフは、リベンジマッチとなったこの日の決勝でも素晴らしいプレーを披露する。ゆったりとしたラリーが続く中で抜群の安定感を見せ、ルネがミスを誘おうとして幾度となく打ってくるループボールにも落ち着いて対応。互いに譲らないまま迎えた第12ゲームで値千金のブレークを果たし、勝利に王手をかける。
第2セットはアグレッシブなプレーを仕掛けてくるルネに押し込まれ、第1ゲームでいきなりブレークを献上してしまう。苦しい展開の中で何とかボールにくらいついていくメドベージェフは、第4ゲームでルネのボレーミスを誘うなど効果的にポイントを積み重ねてブレークバックに成功。第9ゲームからは立て続けに4ゲームを奪い、1時間41分で価値ある優勝を手にした。
試合後のオンコートインタビューでメドベージェフは充実した表情を見せながらも、まさか自分が嫌悪感をも抱いているクレーコートでビッグタイトルを獲得できるとは思っていなかったとコメントした。
「自分のキャリアにおいて、クレーコートでマスターズを優勝できるとは思わなかった。クレーコートでのプレーは苦手で、何もかもがうまくいかなかった」
一方で今季のクレーシーズンも例年通り結果が出ていなかったにもかかわらず、「モンテカルロと(4回戦敗退に終わった)マドリードも悪くはなかったから、とにかくその状態を維持しようと言い聞かせていた。ローマに来てからは練習でとても調子が良かった」と語る。
最後には「実際に結果を残すためには世界で最もタフな相手と立て続けに戦わなければならない」と改めて嫌いなサーフェスでプレーすることへのつらさを吐露しつつも、「自分自身と他の人たちに、自分の実力を証明することができて、本当にうれしいよ」と喜びの言葉を残した。
約1週間後に開幕する四大大会「全仏オープン」(5月28日~6月11日/フランス・パリ/クレーコート)へ向け、大きく弾みをつけたメドベージェフ。パリの赤土のコートでもどんなプレーを見せてくれるのか注目だ。
文●中村光佑
【連続写真】メドベージェフの余分な動きがない安定感抜群のバックハンド!
キャリアの初期からクレーコートを苦手とし、自身でも度々"クレー嫌い"を公言してきた27歳のメドベージェフ。それでも今回のイタリア国際では"クレー嫌い"が嘘であるかのような快進撃を見せてきた。
4回戦で元世界2位のアレクサンダー・ズべレフ(ドイツ/22位)をストレートで破ると、悪天候による約4時間の中断を挟んだ準決勝では昨年大会準優勝のステファノス・チチパス(ギリシャ/5位)に7-5、7-5で勝利。節目のツアー通算20勝目に王手をかけていた。
先月初旬のモンテカルロ大会(ATP1000)準々決勝でルネにストレートでの完敗を喫していたメドベージェフは、リベンジマッチとなったこの日の決勝でも素晴らしいプレーを披露する。ゆったりとしたラリーが続く中で抜群の安定感を見せ、ルネがミスを誘おうとして幾度となく打ってくるループボールにも落ち着いて対応。互いに譲らないまま迎えた第12ゲームで値千金のブレークを果たし、勝利に王手をかける。
第2セットはアグレッシブなプレーを仕掛けてくるルネに押し込まれ、第1ゲームでいきなりブレークを献上してしまう。苦しい展開の中で何とかボールにくらいついていくメドベージェフは、第4ゲームでルネのボレーミスを誘うなど効果的にポイントを積み重ねてブレークバックに成功。第9ゲームからは立て続けに4ゲームを奪い、1時間41分で価値ある優勝を手にした。
試合後のオンコートインタビューでメドベージェフは充実した表情を見せながらも、まさか自分が嫌悪感をも抱いているクレーコートでビッグタイトルを獲得できるとは思っていなかったとコメントした。
「自分のキャリアにおいて、クレーコートでマスターズを優勝できるとは思わなかった。クレーコートでのプレーは苦手で、何もかもがうまくいかなかった」
一方で今季のクレーシーズンも例年通り結果が出ていなかったにもかかわらず、「モンテカルロと(4回戦敗退に終わった)マドリードも悪くはなかったから、とにかくその状態を維持しようと言い聞かせていた。ローマに来てからは練習でとても調子が良かった」と語る。
最後には「実際に結果を残すためには世界で最もタフな相手と立て続けに戦わなければならない」と改めて嫌いなサーフェスでプレーすることへのつらさを吐露しつつも、「自分自身と他の人たちに、自分の実力を証明することができて、本当にうれしいよ」と喜びの言葉を残した。
約1週間後に開幕する四大大会「全仏オープン」(5月28日~6月11日/フランス・パリ/クレーコート)へ向け、大きく弾みをつけたメドベージェフ。パリの赤土のコートでもどんなプレーを見せてくれるのか注目だ。
文●中村光佑
【連続写真】メドベージェフの余分な動きがない安定感抜群のバックハンド!