海外テニス

ジョコビッチの引退時期を父親が「1年半後には来るかも」と予想。「テニスは彼の人生の一部分に過ぎない」<SMASH>

中村光佑

2023.07.27

今年6月の全仏オープンで優勝を喜び合うジョコビッチ・ファミリー。父親のスルジャン氏(中央)は、過酷な選手生活から身を引いた後の息子の幸せを願っている。(C)Getty Images

 テニス四大大会23勝を誇る男子世界ランク2位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)の父親であるスルジャン・ジョコビッチ氏が、息子を題材にしたドキュメンタリー映画『Sportal Novak Djokovic - Untold Stories』のインタビューに登場。そのなかで5月に36歳を迎えたジョコビッチの引退時期について言及し、「1年半後には来るべき時が来るかもしれない」と語った。

 長年男子テニス界をけん引してきたジョコビッチも今年でキャリア20年目。その間、宿命のライバルとされたロジャー・フェデラー(スイス/元1位/41歳)が現役生活に別れを告げ、同じく15年以上にわたってしのぎを削ってきたラファエル・ナダル(スペイン/元1位/現142位)も来季限りでの現役引退を示唆している。未だに鉄人級の強さを見せ続けるジョコビッチも、2人に続く形でキャリアの終焉を告げる日はそう遠くはないかもしれない。

 父親のスルジャン氏はフェデラーとナダルのいない状況下で孤軍奮闘する息子を労うかのように、「父親として私の願いは、彼(ノバク)がしばらくして、この非常に困難かつ過酷なテニスの世界から身を引くことができるようになることだ」と率直な想いを語る。
 
 特にフィジカル面での心配が尽きないというスルジャン氏は「(現役でプレーし続けるというのは)肉体的にも精神的にも絶え間ない挑戦であり、非常にタフなことでもある。彼は(幼少期から)およそ30年間もアクセルから足を離すことなく、そして人生の他のことにあまり時間を割くことなくテニスに集中してきた」と付け加えた。

 そのうえでスルジャン氏は「ゆっくりとした、しかし確かな別れを想像している。まだ終わりは来ていないが、彼の引退は1年半後には来るかもしれない」と発言。「息子に対する私の願いは、7、8年前に全て叶えられたと思う。その後に彼が成し遂げたことは全て、信じられないようなボーナスのようなものだった」

「テニスは彼の人生の一部分に過ぎない。テニスが彼の人生の全てを表しているわけではない。彼がキャリアを終え、そこからどのような人生を歩んでいくかによって、彼(の偉大さ)が認められることを願っている」と締めくくった。

 ただ最終的にはジョコビッチ自身がどこまでモチベーションを保てるかということに尽きるだろう。今後のキャリアについてどのような考えを持っているのかを、ジョコビッチ本人の口からも聞いてみたいものである。

文●中村光佑

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