「実行委員会の、初めての全体会議というのがありまして。皆さん自己紹介していくんですが、わたしの名前は、実行委員リストの一番上にあるんです。しかも『トーナメントディレクター』の横に、かっこ、全責任者、かっこ閉じって書いてあって! びっくりしちゃいました」
言葉を弾ませ広げる笑みの輝きは、現役の頃と変わらない。幾分、肌から日焼けの色が抜けたようにも見えるが、「最近ずっと外にいたので、すっごい焼けちゃったんですよ」と小さく口を尖らせた。
奈良くるみが、プロテニスプレーヤーとしてのキャリアに幕を引いてから、1年近くの時が流れた。
昨年9月末に引退した時点では、「まだ何も決まっていない」と言っていた真っ白なセカンドキャリア。それからわずか半年ほどの間に、ビリー・ジーン・キング・カップ(女子国別対抗戦=旧フェドカップ)のコーチ業に始まり、デビスカップ(男子国別対抗戦)PR担当、テレビ解説者、そして杉山愛を監督に迎えた新体制でも代表チームのコーチと、目の回るような日々を過ごしてきた。
そしてこの夏、彼女は引退後最大の大仕事へと挑む。それが、「ユニクロ全日本ジュニアテニス選手権」の“トーナメントディレクター(全責任者)”である。
国内最大のジュニア大会である全日本ジュニアテニス選手権(以下全日本ジュニア)は、昨年からユニクロをタイトルスポンサーに据え、今季は会場を大阪から東京の有明テニスの森に移した。大会そのものが心機一転を図るうえで、明るく聡明な31歳の元世界32位ほどに、トーナメントディレクターに適任な者は居ないだろう。奈良にこのポストをオファーしたのは、日本テニス協会強化本部長の土橋登志久。新たな風を求める気配は、協会内部にも生まれていたようだ。
早くから「天才少女」として知られた奈良は、全日本ジュニアの全年代(12歳以下、14歳以下、16歳以下、18歳以下)のタイトルを持つ。最近では、一度タイトルを取れば以降は出場を見合わせる選手も少なくない中、奈良は「私たちの時代はまだ、スキップするという発想もなかったですよ」と目を丸くした。
「注目されるプレッシャーは無かったのか」と問うと、「それが無くて。標的にされるのが楽しい、注目されるのが嬉しかったので」と無邪気な笑みをこぼす。
「優勝して、『嬉しい』ではなく『ホッとしました』と言うような、可愛げのない子どもでした」
それが本人が解析する、「天才少女」の本質だ。
言葉を弾ませ広げる笑みの輝きは、現役の頃と変わらない。幾分、肌から日焼けの色が抜けたようにも見えるが、「最近ずっと外にいたので、すっごい焼けちゃったんですよ」と小さく口を尖らせた。
奈良くるみが、プロテニスプレーヤーとしてのキャリアに幕を引いてから、1年近くの時が流れた。
昨年9月末に引退した時点では、「まだ何も決まっていない」と言っていた真っ白なセカンドキャリア。それからわずか半年ほどの間に、ビリー・ジーン・キング・カップ(女子国別対抗戦=旧フェドカップ)のコーチ業に始まり、デビスカップ(男子国別対抗戦)PR担当、テレビ解説者、そして杉山愛を監督に迎えた新体制でも代表チームのコーチと、目の回るような日々を過ごしてきた。
そしてこの夏、彼女は引退後最大の大仕事へと挑む。それが、「ユニクロ全日本ジュニアテニス選手権」の“トーナメントディレクター(全責任者)”である。
国内最大のジュニア大会である全日本ジュニアテニス選手権(以下全日本ジュニア)は、昨年からユニクロをタイトルスポンサーに据え、今季は会場を大阪から東京の有明テニスの森に移した。大会そのものが心機一転を図るうえで、明るく聡明な31歳の元世界32位ほどに、トーナメントディレクターに適任な者は居ないだろう。奈良にこのポストをオファーしたのは、日本テニス協会強化本部長の土橋登志久。新たな風を求める気配は、協会内部にも生まれていたようだ。
早くから「天才少女」として知られた奈良は、全日本ジュニアの全年代(12歳以下、14歳以下、16歳以下、18歳以下)のタイトルを持つ。最近では、一度タイトルを取れば以降は出場を見合わせる選手も少なくない中、奈良は「私たちの時代はまだ、スキップするという発想もなかったですよ」と目を丸くした。
「注目されるプレッシャーは無かったのか」と問うと、「それが無くて。標的にされるのが楽しい、注目されるのが嬉しかったので」と無邪気な笑みをこぼす。
「優勝して、『嬉しい』ではなく『ホッとしました』と言うような、可愛げのない子どもでした」
それが本人が解析する、「天才少女」の本質だ。
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