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国内テニス

奈良くるみ、現役引退後1年で全日本ジュニアTDに就任!「子どもたちに次へ進むための何かを得て欲しい」と意欲<SMASH>

内田暁

2023.08.19

全日本ジュニアでは各年代で頂点を極めてきた奈良だからこそ、大会の持つ特別な力も理解しているようだ(写真は18歳以下優勝時)。写真提供:奈良家

全日本ジュニアでは各年代で頂点を極めてきた奈良だからこそ、大会の持つ特別な力も理解しているようだ(写真は18歳以下優勝時)。写真提供:奈良家

 加えて今大会では奈良の声掛けにより、土居美咲や内山靖崇、伊藤竜馬に鈴木貴男ら多くの選手たちによる、ジュニア対象のクリニックが実現した。

「私ができることと言えば、選手を呼べることかな」と控えめに言うが、それこそが“愛されキャラ”として知られる奈良の真骨頂。何よりジュニア選手たちにとっては、他では得がたい財産だ。

「1回戦で負けた選手も、ずっと会場に残って欲しいというような充実のカリキュラムを組んでいます。それは私の思いとして、負けてもまた前向きに、また頑張ろうと思って自分の地方に帰ってもらいたいというのがあって。いろいろ選手に協力してもらい、イベントやクリニックをやってもらおうと思っています」

 そのような奈良の熱い想いは、自身の体験にも根差している。
 
「まだ10歳くらいの時だったと思うのですが、私がいた大阪の江坂テニスクラブに杉山愛さんとコーチの丸山淳一さんがいらして、クリニックをしてくださったんです。当時の愛さんはダブルスの世界1位。『そんなにすごい選手がいるんだ』という感じで、今でも鮮明に記憶に残っています。憧れの選手に言われたことって、今は理解できなくても、『そういえばこう言われたな』と、ふと降りてくるときが絶対にあると思うんです」

 そのような掛け替えのない瞬間を、一人でも多くのジュニアに体験して欲しい――その願いが、奈良の行動の根源にある。

 最後に、新トーナメントディレクターに伺った。「参戦選手たちに贈るメッセージは何か」……と。

「選手によって目標はいろいろあると思いますが、とにかく全力で戦ってほしいです。こういう緊張感ある大会、プレッシャーが掛かる試合って、年間にそう何度もある訳ではない。全日本ジュニアは私にとってそういう大会だったし、きっとみんなにとっても大きな意味のある大会だと思います。ですからここで逃げずに、今までやってきたことを出して戦ってほしい。その上で、やっぱり試合は結果がついてくるものなので、その結果を受け止めつつ、次に進むための何かを得て成長して欲しいなと思います」

取材・文●内田暁

【画像】ユニクロ全日本ジュニアテニス選手権フォトギャラリー

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