先週行なわれた男子テニスのシーズン最終戦「Nitto ATPファイナルズ」(11月12日~19日/イタリア・トリノ/インドアハードコート/FIN)で自身の最多記録を更新する同大会7度目の優勝を飾った世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)。前回覇者として出場した今年のファイナルズでは非常にタフな戦いを強いられ、頂点に立つまでの道のりは決して簡単なものではなかった。
ラウンドロビン(総当たり戦)では3戦全てがフルセットにもつれ込む接戦となり、第2戦では過去3戦全勝だった地元勢のヤニック・シナー(イタリア/4位)にフルセットで敗戦。続く第3戦ではケガにより大会途中で棄権したステファノス・チチパス(ギリシャ/6位)の代わりに補欠で参戦したフベルト・フルカチュ(ポーランド/9位)に接戦で勝利して2勝1敗とするも、この時点では勝敗やセット取得率の関係もあり、準決勝進出は決まっていなかった。
最終的にジョコビッチは、同グループのシナーがラウンドロビンを3勝0敗としたことにより準決勝へと進出。現地18日の準決勝では今季幾度となく熱戦を繰り広げてきた20歳のカルロス・アルカラス(スペイン/2位)に6-3、6-2で快勝すると、シナーとのリベンジマッチが実現した翌日の決勝でも6-3、6-3のストレートで勝利。ファイナルズ7度目の戴冠を果たし、シーズンを最高の形で締めくくった。
ATP(男子プロテニス協会)公式サイトによると、2019年からジョコビッチのコーチを務めるゴラン・イバニセビッチ氏(クロアチア/元世界2位/52歳)は、ジョコビッチのラウンドロビン突破が確定した段階で「ファイナルズを優勝すると予想できていた」という。
その根拠について同氏は「彼のメンタリティに変化が生じた。土曜日の準決勝では"新しいノバク・ジョコビッチ"がコートに姿を現した。本物のノバク・ジョコビッチがコートに辿り着くと、その瞬間から彼に太刀打ちできる者は誰もいない」と簡潔に説明。「シナーに負けた後、ノバクはしばらく1人になった。チームに連絡もしてこなかった」とも語り、タイトル防衛への大一番へ向け、経験豊富な鉄人からいつもとは違った雰囲気を感じていたと明かした。
またイバニセビッチ氏は、アルカラス戦の開始直前に行なったウォーミングアップでも「ノバクは普段とは違う様子だった」といい、「アルカラスとの試合でノバクは最初のポイントから自分自身を鼓舞し、拳まで突き上げていた。彼はある意味非常にポジティブだった」とコメント。
続けてシナーとの決勝については「そもそも同じ大会で2度もノバクを負かすのは難しい」と述べた上で、「決勝はラウンドロビンで負けた時とは全く違った内容だった。戦術的にノバクは火曜日とは全く違ったプレーをした」と36歳とは思えないパフォーマンスを見せつけたジョコビッチに脱帽した。
キャリアの終盤を迎えている中で、未だに無類の強さを見せ続けるジョコビッチ。もはや誰が彼を止められるのだろうか。パリ五輪も開かれる来季は、ぜひとも2年前に果たせなかった年間ゴールデンスラム(1年で全ての四大大会とオリンピックを制覇すること)の偉業達成を期待したい。
文●中村光佑
【動画】ATPファイナルズ決勝!ジョコビッチ対シナーのハイライト
【全米オープン2023 PHOTO】四大大会通算24回目の優勝を果たしたノバク・ジョコビッチの厳選フォト!!
【動画】ジョコビッチの年間ランキング1位が決定! 喜びの表彰セレモニーの様子
ラウンドロビン(総当たり戦)では3戦全てがフルセットにもつれ込む接戦となり、第2戦では過去3戦全勝だった地元勢のヤニック・シナー(イタリア/4位)にフルセットで敗戦。続く第3戦ではケガにより大会途中で棄権したステファノス・チチパス(ギリシャ/6位)の代わりに補欠で参戦したフベルト・フルカチュ(ポーランド/9位)に接戦で勝利して2勝1敗とするも、この時点では勝敗やセット取得率の関係もあり、準決勝進出は決まっていなかった。
最終的にジョコビッチは、同グループのシナーがラウンドロビンを3勝0敗としたことにより準決勝へと進出。現地18日の準決勝では今季幾度となく熱戦を繰り広げてきた20歳のカルロス・アルカラス(スペイン/2位)に6-3、6-2で快勝すると、シナーとのリベンジマッチが実現した翌日の決勝でも6-3、6-3のストレートで勝利。ファイナルズ7度目の戴冠を果たし、シーズンを最高の形で締めくくった。
ATP(男子プロテニス協会)公式サイトによると、2019年からジョコビッチのコーチを務めるゴラン・イバニセビッチ氏(クロアチア/元世界2位/52歳)は、ジョコビッチのラウンドロビン突破が確定した段階で「ファイナルズを優勝すると予想できていた」という。
その根拠について同氏は「彼のメンタリティに変化が生じた。土曜日の準決勝では"新しいノバク・ジョコビッチ"がコートに姿を現した。本物のノバク・ジョコビッチがコートに辿り着くと、その瞬間から彼に太刀打ちできる者は誰もいない」と簡潔に説明。「シナーに負けた後、ノバクはしばらく1人になった。チームに連絡もしてこなかった」とも語り、タイトル防衛への大一番へ向け、経験豊富な鉄人からいつもとは違った雰囲気を感じていたと明かした。
またイバニセビッチ氏は、アルカラス戦の開始直前に行なったウォーミングアップでも「ノバクは普段とは違う様子だった」といい、「アルカラスとの試合でノバクは最初のポイントから自分自身を鼓舞し、拳まで突き上げていた。彼はある意味非常にポジティブだった」とコメント。
続けてシナーとの決勝については「そもそも同じ大会で2度もノバクを負かすのは難しい」と述べた上で、「決勝はラウンドロビンで負けた時とは全く違った内容だった。戦術的にノバクは火曜日とは全く違ったプレーをした」と36歳とは思えないパフォーマンスを見せつけたジョコビッチに脱帽した。
キャリアの終盤を迎えている中で、未だに無類の強さを見せ続けるジョコビッチ。もはや誰が彼を止められるのだろうか。パリ五輪も開かれる来季は、ぜひとも2年前に果たせなかった年間ゴールデンスラム(1年で全ての四大大会とオリンピックを制覇すること)の偉業達成を期待したい。
文●中村光佑
【動画】ATPファイナルズ決勝!ジョコビッチ対シナーのハイライト
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