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【伊達公子】ストリングのテンションは感覚。ウインブルドン準決勝では通常よりかなり低かった<SMASH>

伊達公子

2024.04.12

昔は会場に行くと「ベースのテンション探しから始める必要がありました」と言う伊達公子さん。写真:THE DIGEST写真部

昔は会場に行くと「ベースのテンション探しから始める必要がありました」と言う伊達公子さん。写真:THE DIGEST写真部

 テニスラケットはストリングによって感触が違ってきます。私がストリンガーさんにリクエストしていたのは、反発がありつつも食いつく感じにしてほしいということでした。ラケット自体は硬い方が好きでしたが、手元の感じは球持ちが良い感じがほしかったんです。

 以前はナチュラルガットだけを張っていましたが、セカンドキャリアの時から、縦ポリに横ナチュラルガットに変更しました。自分が思い描いている通りのボールを少しでも高い精度で打てることを求めて、色々とセッティングを試した結果、これに決めました。

 ファーストキャリアの時のテンションは58~63ポンドぐらいと、かなり高かったです。セカンドキャリアでは、ずいぶん下げました。ラケットの進化ももちろんですが、テンションも時代によって傾向がありますね。昔はストリンガーさんによって、同じテンションでお願いしても違いがあったものです。そのため大会会場に行くと、その土地の気候とストリンガーさんの張りに合ったベースのテンション探しから始める必要がありました。

 1996年ウインブルドン準決勝の時は、テンションが43でした(笑)。疲労の影響もあったかもしれませんが、当時の私ではありえない低さです。でも、ストリンガーさんの張り方との感覚になってくるので、数字が全てではありません。その時は常に硬く感じていたため、心地良いところまで下げて行ったら、43になったんです。今はストリングマシンの性能が上がり、張る人によっての違いが少なく、気候やサーフェス、体調に合わせて微調整するぐらいで比較的、ストリングスの調整にかかる時間は短くなってきているように思います。
 
 張り替えのタイミングですが、大会期間中は毎日張り替えます。フレッシュな状態が好きなので、必ず試合当日の朝に張ってもらうように依頼していました。朝張りに関してはファーストキャリアではなかったこだわりです。セカンドキャリアでは、みんなが当たり前のようにストリングの張りにこだわるようになっていたので、自然と自分でも考えるようになっていきました。

 ただ、ぐりぐりにスピンをかける人とは違い、私の場合はフラット系なのでストリングが切れることがほとんどありません。ボールチェンジのタイミングでもラケットを変えないため、試合には2本か3本準備しておけば大丈夫でした。

 ラケットとストリングの組み合わせは無数にあります。同じラケットでもストリングを変えるだけで、違った印象になります。もしかしたら、ラケットの性能を最大限に生かすことができたり、ラケットの違った一面を感じられるストリングやテンションがあるかもしれません。多くの選択肢があるので、色々と試すことで新たなテニスの楽しみ方ができるのではないでしょうか。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

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