試合とは、23.77m×10.97mのテニスコート内だけで、完結するものではない。刻一刻と変わりゆく戦況の中で、相手の心の動きを読み、自身を律し、戦略を立案し、そして、遂行する―。その総力戦において、ノバク・ジョコビッチ(セルビア/世界ランキング7位)がいかに突出した存在であるかを、彼は全豪オープン準々決勝で、改めて示してみせた。
2023年末にジョコビッチは、米国の情報番組『60 Minutes』に出演した際、試合中に得た情報をいかに活用しているかについて、次にように語っていた。
「チェンジエンドの際、スクリーンに映される相手の姿を、観察するようにしている。どれくらい水を飲んでいるか? いつもより汗をかいているか? 呼吸はどうか? 彼がチームとどのようなやり取りをしているか? これら、パフォーマンスや試合そのものに影響を与える要素を確認するんだ」
今大会の準々決勝戦でも、彼はこの類まれなる観察眼と戦略性を、21歳のカルロス・アルカラス(スペイン/同3位)を攻略するために総動員する。
第1セットのゲームカウント4-4、15-15の場面。アルカラスはドロップショットでジョコビッチを釣り出し、パッシングショットを叩き込むと、耳に手を当てファンの歓声を求めた。
その直後、ラリー中のコードボールを詫びるためジョコビッチの方を向いた彼は、ドロップショットを追った相手が、足を痛めた様子を目にする。ジョコビッチがメディカルタイムアウトを取ってコートを去ったのは、アルカラスがこのゲームをブレークした直後。21歳の世界3位が、勝利を大きく手繰り寄せたかに見えた。
この時、試合の潮目を大きく変えうる小さな心の動きが、両者の間で交わされたことに気付いた者は、少なかっただろう。
「僕は試合をコントロールしていた。なのに、相手に息を吹き返させてしまった」
試合後にアルカラスが、悔いをかみ殺すように振り返る。
「第2セットでは、相手を限界まで追い詰めなくてはいけなかった。それができなかったために、彼はどんどんプレーのレベルをあげてきた」
「それが、最大の過ちだった」―と、彼は言った。
その「最大の過ち」の根源には、足を引きずる相手の姿を見た時の、心の揺らぎがあっただろう。
「相手の動きが明らかに落ちた時、これで楽になると思ってしまう。同時に、『それまでとは違うプレーをしないと』と思ってしまった」とアルカラスは言った。
2023年末にジョコビッチは、米国の情報番組『60 Minutes』に出演した際、試合中に得た情報をいかに活用しているかについて、次にように語っていた。
「チェンジエンドの際、スクリーンに映される相手の姿を、観察するようにしている。どれくらい水を飲んでいるか? いつもより汗をかいているか? 呼吸はどうか? 彼がチームとどのようなやり取りをしているか? これら、パフォーマンスや試合そのものに影響を与える要素を確認するんだ」
今大会の準々決勝戦でも、彼はこの類まれなる観察眼と戦略性を、21歳のカルロス・アルカラス(スペイン/同3位)を攻略するために総動員する。
第1セットのゲームカウント4-4、15-15の場面。アルカラスはドロップショットでジョコビッチを釣り出し、パッシングショットを叩き込むと、耳に手を当てファンの歓声を求めた。
その直後、ラリー中のコードボールを詫びるためジョコビッチの方を向いた彼は、ドロップショットを追った相手が、足を痛めた様子を目にする。ジョコビッチがメディカルタイムアウトを取ってコートを去ったのは、アルカラスがこのゲームをブレークした直後。21歳の世界3位が、勝利を大きく手繰り寄せたかに見えた。
この時、試合の潮目を大きく変えうる小さな心の動きが、両者の間で交わされたことに気付いた者は、少なかっただろう。
「僕は試合をコントロールしていた。なのに、相手に息を吹き返させてしまった」
試合後にアルカラスが、悔いをかみ殺すように振り返る。
「第2セットでは、相手を限界まで追い詰めなくてはいけなかった。それができなかったために、彼はどんどんプレーのレベルをあげてきた」
「それが、最大の過ちだった」―と、彼は言った。
その「最大の過ち」の根源には、足を引きずる相手の姿を見た時の、心の揺らぎがあっただろう。
「相手の動きが明らかに落ちた時、これで楽になると思ってしまう。同時に、『それまでとは違うプレーをしないと』と思ってしまった」とアルカラスは言った。
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