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「息をするのもやっとだった」ストーカーへの恐怖で試合中に涙したラドゥカヌが当時の心境を吐露<SMASH>

スマッシュ編集部

2025.03.09

ストーカー被害が大事に至らず幸いだったが、今後も注意が必要なことに変わりはない。(C)Getty images

 女子テニス界を騒然とさせたストーカー被害以降、この件について深く言及することを避けてきたエマ・ラドゥカヌ(イギリス/世界ランク55位)がついに重い口を開いた。

 22歳の彼女を震え上がらせた出来事の発端は、「ドバイ・デューティ・フリー・テニス選手権」(2月16日~22日/UAE・ドバイ/ハードコート/WTA1000)のシングルス2回戦でカロリーナ・ムチョバ(チェコ/同17位)と対戦していた際のこと。まだ試合序盤の第2ゲーム終了後、ラドゥカヌは突如として涙を流し、何かに怯えるような様子で審判台の裏に隠れた。

 観客席の最前列に、彼女に対して執拗に付きまとい行為をしていた男性ファンを見つけたのだ。この男性はラドゥカヌからの訴えによりすぐさま会場外へ連れ出され試合は再開されたが、ラドゥカヌはこの試合にストレートで敗れた。

 この大会以降、初めての公式戦となる「BNPパリバ・オープン」(3月5日~16日/アメリカ・インディアンウェルズ/ハードコート/WTA1000)を迎えたラドゥカヌは、大会前の記者会見で当時の心境について「最初のゲームで彼を見つけて、本当に取り乱してしまった」と明かした。

「文字通り、涙でボールが見えなかったわ。息をするのもやっとだった。最初の4ゲームは自分から逃げてしまったような感じで試合に集中できていなかった。あんな状況でも、プレーを続けるられるようにかなり努力したわ」
 
 ラドゥカヌを恐怖させた男性は、今シーズンに入ってシンガポール、アブダビ、ドーハ、そしてドバイと4大会にわたって彼女を追いかけ、さらにコート外でも接触してきたようだ。

「(接触は)2回あったわ。1回目は普通のファンが近づいてきたのだと思った。でも2回目はコーヒーショップにいた時で、ずっと私のことを観察しているようだった。その時は本当に怖かったの」

 その後、この男性はWTA(女子テニス連盟)から全てのWTAイベントへの来場を禁止されたが、万全を期してBNPパリバ・オープンへの出場中はラドゥカヌに特別な警備員が配置されることに。ラドゥカヌは「この数週間は色々なことがあったから1週間の休みが必要だった。今はもうとても良くなったわ」と、ようやく平穏を取り戻した様子だ。

 なお、ラドゥカヌは現地時間3月6日に行なわれた同大会シングルス1回戦で、日本の内島萌夏(世界ランク52位)と対戦。3-6、2-6のストレートで敗れている。

構成●スマッシュ編集部

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【動画】ひどく怯えた様子で審判台の裏に隠れるラドゥカヌ